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被災地同士の一戦は仙台に軍配、「力のこもった試合になった」

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[3.10 J1第1節 仙台1-0鹿島 ユアスタ]

「震災を忘れないための大事な一戦」。ベガルタ仙台手倉森誠監督が試合前にそう評した試合は、ホームの仙台が1-0で鹿島アントラーズを下し、東日本大震災から明日でちょうど1年となる開幕戦を制した。

「自分自身のプレーよりも、まずは今日の試合を勝ちたかった」。GK林卓人が試合後に振り返ったとおり、立ち上がりから両チームがゴールへの執念を見せた。最初のチャンスは仙台。前半5分、MF関口訓充の左クロスにDF菅井直樹が頭で合わせたが、シュートは枠を外れた。

 その後は一進一退の攻防が続く。鹿島はアンカーにMF青木剛、右に増田誓志、左に小笠原満男、そしてトップ下にMF本山雅志を配した中盤がダイヤモンド型の新布陣により厚みを増したサイド攻撃でチャンスをうかがう。しかし、互いに高い集中力を見せ、ゴールラインを割らせず、両チーム無得点のまま前半を折り返した。

 試合を動かしたのは、後半に入り、さらに勢いを増した仙台だった。後半17分、左サイドで得たCKのチャンス。MF太田吉彰がファーサイドに上げたボールをFW赤嶺真吾が頭で折り返し、DF上本大海がヘディングででねじ込んだ。今季、C大阪から加入したCBの移籍後初得点が仙台の2012年初ゴール。ホームの仙台がリードを奪った。

 後半11分に本山に代えてMF柴崎岳を投入した鹿島は失点後の同24分にはFW大迫勇也に代えて興梠慎三をピッチに送り込む。さらに同30分、青木に代えて遠藤を投入。システムを昨季までのボックス型の4-4-2に戻し、柴崎と小笠原がダブルボランチを形成したが、昨季J1最少の25失点と堅守を誇った仙台守備陣を崩すことはできず、そのまま仙台が1-0で逃げ切りに成功した。

 試合後のインタビューで手倉森監督は「鹿島も被災地チーム。力のこもった試合になった。セットプレーが大きなウェイトを占めてくると思った。みんなそれを理解してよく取ってくれた」と、CKから値千金の決勝点を奪った選手たちを称えていた。東日本大震災から明日で1年という“特別な日”に迎えた開幕戦。4位と躍進した昨季の快進撃がフロックではないことを証明した仙台が2012年もJ1リーグの台風の目となる。

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