beacon

強豪校との武者修行が転期に 大分南が総体予選の覇者・大分鶴崎を下して初の決勝へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

大分南高が初の決勝へ

[10.29 選手権大分県予選準決勝 大分南高 2-2(PK8-7) 大分鶴崎高 大分スポーツ公園サッカー場Bコート]

 鬼門の準決勝を突破し、初の全国舞台まであと1勝とした。

 10月29日、第101回全国高校サッカー選手権大分県予選の準決勝が大分スポーツ公園サッカー場Bコートで行われ、大分南高が夏の総体出場校・大分鶴崎高を下して初の決勝進出を決めた。

 チームにとって準決勝は越えなければいけない壁だった。過去2度のセミファイナルはいずれも敗戦。また、今回の相手である大分鶴崎は指揮官にとって古巣。2年連続で選手権に導いたチームでもあり、少なからず特別な想いもあった。

 そのなかで迎えた一戦はいきなりスコアが動く。キックオフしてから僅か20秒後の出来事だった。中盤からのロングフィードで右サイドから打開を図る。ボールが流れて狙いとは異なったが、FW坂井元汰(3年)がうまく収めて相手GK工藤拳士朗(2年)を外す。最後は角度のない位置からネットを揺らした。

 電光石火の一撃がチームに勢いをもたらす。前半5分にも右サイドからチャンスを作り、こぼれ球に反応したMF森海翔(3年)が豪快に蹴り込んでリードを広げた。「力は向こうが上。先行してしまったので、良い意味で情勢が変わった」とは三重野監督の言葉。想定外の展開に指揮官も10分過ぎに「いつも通りにプレーしよう」と言葉を掛け、シンプルに前に蹴るだけではなく、ボールを繋ぎながら冷静に戦うことを求めた。

 とはいえ、相手は夏の総体出場校。局面を打開する力は一枚上手で、徐々に押し込まれる時間が増えていく。前半アディショナルタイムには左サイドを崩され、最後はFW川野竜聖(3年)にゴールを許した。

 失点して前半を終えると、後半は相手のペースに。後半8分にはFW楠元和馬(2年)に同点ゴールを許した。しかし、ここから大分南は粘り強く戦っていく。GK秦琥太郎(2年)やキャプテンの左SB末永孟久(3年)を軸に守り、勝ち越し点を許さない。攻撃陣もカウンターからチャンスを作り、格上の相手に一歩も引かずに戦った。すると、22分。最終ラインの背後に飛び出したFW藤末琉生(3年)が相手の主将・CB遠山隼都(3年)に倒される。このプレーで遠山は一発退場に。数的優位な状況となり、大分南が勢いを取り戻して再び主導権を握った。だが、相手の堅守に阻まれ、ゴールが奪えない。決着が付かずに迎えた延長戦でも積極的に仕掛けたものの、決定打を繰り出せなかった。

 勝負の行方はPK戦に委ねられる。ここでヒーローになったのがGKの秦だ。後攻の大分南は1本目を外してしまうが、秦が3本目のキックを阻止。以降は互いに1本ずつ外し、迎えた10人目。先行の大分鶴崎が失敗すると、秦が最後のキッカーを託される。「PKキッカーは中学生以来」という大役にも動じず、真ん中に蹴り込んで歓喜の輪が生まれた。

「もちろん全国大会もあるけど、その前の段階で目標になる舞台。選手を決勝に連れて行って、昭和電工ドーム大分でプレーさせたいと思っていた」と、選手たちの頑張りに笑顔を見せた三重野監督。今年の3年生はコロナ禍の影響もあり、昨季までは遠征や長期の合宿がほとんどできていない世代だった。そのなかで今夏は県外に出向き、徳島市立高、大津高、高川学園高といった全国レベルのチームに胸を借りる機会を得る。大津には10点を奪われるなど悔しい想いを味わってきたが、夏の遠征が自分たちの現在地を知る場となった。「選手の目の色が変わったかは分からないけど、頑張らないといけないという気持ちになったのは事実」(三重野監督)。そこからチームに全国で戦うための基準が備わり、求めるレベルが一段階高まった。

 夏の武者修行を経て、掴んだ決勝の舞台。「さらに学校の歴史を変えたい」(秦)。快進撃を続ける大分南が初の全国舞台を目指し、11月5日のファイナルに挑む。

★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


 挑戦し続ける若者を応援したい、挑戦の先にある新たな扉を開くサポートをしたい、そんな想いから第100回大会より全国高校サッカー選手権へ協賛。日本一を目指す高校生たちの挑戦を全力でサポートいたします!

sfida 2022秋冬COLLECTIONはこちら

(取材・文 松尾祐希)

●【特設】高校選手権2022

TOP