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[MOM4055]大分南GK秦琥太郎(2年)_忘れられない小学校時代の悔しさを胸に――。2年生守護神が攻守で躍動してPK戦のヒーローに!

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大分南高GK秦琥太郎(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[10.29 選手権大分県予選準決勝 大分南高 2-2(PK8-7) 大分鶴崎高 大分スポーツ公園サッカー場Bコート]

 対戦する前から誰よりもモチベーションを高めていた。大分鶴崎高のGK工藤拳士朗(2年)は忘れてはならない存在だったからだ。絶対に負けられない――。大分南高の守護神・秦琥太郎(2年=ヴェルスパ大分U-15)はチームの勝利はもちろん、自分の成長を示すべくピッチに立った。

 夏の総体に出場した相手に対し、チームは開始5分で2点を先行。その後は相手の勢いに飲まれ、前半の終了間際と後半の立ち上がりに失点を喫してしまう。GKの責任ではないが、ゴールを預かる者としてリードを守れなかった悔しさが誰よりもあったのは想像に容易い。

 だからこそ、PK戦は名誉挽回のチャンスだった。

「今までの試合も自分のミスで失点した場面があったので、このPK戦で取り返すしかなかった。キックを止められて、流れをつなげたので良かったです」(秦)

 先行となった大分南は1本目を止められるなか、迎えた3本目。「練習では止めたり、止めなかったり。本当に日によって違う」とPKに自信があるタイプではなかったが、秦は左に飛んで相手のキックを阻止する。自分の武器であるシュートストップで魅せ、チームに勢いをもたらした。しかし、5本目までに決着が付かない。サドンテスとなってからも互いに譲らず、9人目まで勝敗が決しない大熱戦となった。そして10人目。GKを預かっていた守護神がキッカーを託され、ペナルティスポットに向かう。

「右か左に蹴れば、外してしまう気がする」

 己の直感を信じ、真ん中へボールを蹴り込んだ。

 その瞬間、創部初の決勝進出が決定。仲間のもとに駆け寄り、勝利の喜びを噛み締めた。

 攻守でヒーローとなった秦にとって、この試合は特別だった。相手GKの工藤は大分U-15でプレーしていたが、自身は大分U-12から昇格を果たせなかった過去がある。「中学の時に悔しさを味わっているので負けられない」。その想いがあったからこそ、大きな成長を遂げられた。

 ヴェルスパ大分U-15時代は、トップチームでプレーを続けながら下部組織のGKコーチを務めていた大分南OBの姫野昂志氏や西岡佑馬氏の下で鍛錬。苦手としていた足元の技術と向き合いながら、得意としていたセービングに磨きを掛けた。そうした地道な努力が高校入学後に花開く。大分南では下級生ながらゴールを預かるまでになり、この準決勝では大事な局面でチームを救うセーブを見せた。

 ヒーローとなった守護神だが、満足はしていない。中学時代にお世話になったGKコーチはもちろん、母に対しても恩返しがしたいからだ。

「GKコーチに恩返しをしたいし、母にも迷惑をかけてきたので決勝で活躍をしたい。母には学校の行き帰りに送ってもらうこともあった。今日は仕事で母が来られなかったけど、決勝はスタジアムに来てくれる。連れて行きたいと思っていた舞台なので、勝って恩返しがしたいです」

 決勝でもお世話になった人に成長した姿を見せるべく、大分トリニータの本拠地である“昭和電工ドーム大分”のピッチに立つ。

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(取材・文 松尾祐希)

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