beacon

[MOM4082]青森山田FW小湊絆(3年)_延長後半残り2分での歓喜。10番が涙の優勝ゴール

このエントリーをはてなブックマークに追加

延長後半8分、青森山田高FW小湊絆(3年=横浜FCジュニアユース出身)が右足で決勝点

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[11.6 選手権青森県予選決勝 青森山田高 2-1(延長)八戸学院野辺地西高 カクスタ]

 激闘に決着をつけたのは、青森山田高の10番だった。延長後半8分、青森山田は中央からボールを繋ぎ、MF奈良岡健心(3年)が1タッチでスルーパス。これに走り込んだFW小湊絆(3年=横浜FCジュニアユース出身)が右足シュートをゴール右隅に決めた。

 小湊は延長前半、右中間への抜け出しから対角の右足を放って左外へ外している。再び抜け出した瞬間は、ファーへのシュート、ループシュートのイメージも湧いていたようだが、「ファーで同じミスするよりもニアに打ったほうが良いと」ニアへシュート。決勝点を決めた10番はピッチに倒れ込んだまま両手を突き上げると、次の瞬間、両手で顔を覆って涙を流していた。

 シュートを外して悔しがっているのかと思わせるような情景。小湊は「ボールの軌道が見えた瞬間に入ったと分かったので、ホッとして気づいたら泣いていました」。本当はピッチに飛び出して喜ぶサブ組の下へ駆け寄りたかったというが、「普通に応援団の方行こうと思ったら足痛すぎて」動けず。雨で濡れたピッチに背をつけたまま喜んだ10番は、その後起き上がると足を引きずりながら仲間たちの輪の中へ。そして、黒田剛監督と抱擁し、ベンチへ退いた。

 この日9本目のシュートでようやくこじ開けたゴール。相手が優位な体勢での競り合いでマイボールに変え、抜け出しでのチャンスメーク、守備面でも貢献していたが、シュートを決めきれないでいた。連覇、県内連勝記録がストップする可能性もあるピンチに、「試合中もずっと泣きそうな感じで」と小湊は明かす。

 一週間前まで負傷離脱していたこともあってコンディションは不十分。普段と異なる取り替え式のスパイクで足も重かった。それでも、必死に平常心を保ち、走り続けてエースの仕事。涙の10番は素直にゴールを喜んだ。

「なかなかプレミアリーグでも自分のゴールでチームを勝たせるというのがあまり体現できていなかった部分。でも、この大一番で一発を持って来れたのは自信になりますし、とても嬉しい」。黒田監督も「ファウルも受けて、怪我もして、足を引きずっていましたけれども、最後やってくれて良かったと思います」と目を細めていた。

 かつて、青森山田の10番を背負ったMF柴崎岳(現レガネス)がワールドカップ日本代表に選出。昨年10番を背負ったMF松木玖生(現FC東京)はU-19日本代表としてスペイン遠征を行った後、日本代表のトレーニングパートナーとしてワールドカップ開催地のカタールへ向かう。

 小湊は「山田の10番をつけたからには、この先羽ばたいていかないといけない責任も生まれると思う。自分もそこに入れるような存在になっていかないといけない」と力を込める。そして、「自分、日本一のプロサッカー選手になりたいので。サッカーファンが『日本一のサッカー選手って誰だと思う』という質問に対して、自分の名前が上がるような、そんなサッカー選手になりたい」と語った。昨年度の選手権で3ゴール。10番は今冬、かつて選手権で輝いた柴崎や松木のように、青森山田に白星をもたらし、目標とする姿に近づく。


★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


 挑戦し続ける若者を応援したい、挑戦の先にある新たな扉を開くサポートをしたい、そんな想いから第100回大会より全国高校サッカー選手権へ協賛。日本一を目指す高校生たちの挑戦を全力でサポートいたします!

sfida 2022秋冬COLLECTIONはこちら

(取材・文 吉田太郎)

●【特設】高校選手権2022

TOP