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怪我から復帰のCB多久島良紀主将、交代出場で青森山田に安心感と落ち着きもたらす

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怪我から復帰の青森山田高CB多久島良紀(3年=大宮アルディージャU15出身)が交代出場で優勝に貢献

[11.6 選手権青森県予選決勝 青森山田高 2-1(延長)八戸学院野辺地西高 カクスタ]

 怪我による長期離脱から帰ってきた主将が、王者を落ち着かせた。青森山田高は1-1の後半29分にCB多久島良紀(3年=大宮アルディージャU15出身)を投入。急遽、出場を告げられたという多久島だが、「気持ちは作っていた」。昨年の決勝も経験しているだけに、緊張感も理解した上でピッチへ。同点で勢いづく相手、悪天候、加えて多久島自身にも試合勘の問題があったが、主将はスムーズに試合に入って見せる。

「得点が欲しかったのもありますし、カウンターを受けていたのもあったので、まずはDFラインをコントロールしながら、声がけしながらオフのところを徹底するのと、『セットプレーでオマエが決めて来い』と正木(昌宣)コーチに言われていました」。

 多久島は全国3冠世代の昨年からレギュラー。昨年のプレミアリーグEASTで2得点、同年のインターハイでもゴールを決めている。ロングスロワーとしても注目されたが、ゴール前での競り合いの強さも抜群。多久島投入で攻守に置いてゴール前での強さは増した。

 多久島はCB三橋春希(3年)らと協力しながら相手の速攻を止め、セットプレーを弾き返すなどシュートを打たせずに守り続ける。特に大きかったのが、その安心感とリーダーシップ。「同点になったのもありますし、会場が(八戸学院野辺地西高のプレーで湧くなど)相手側の方だったので緊張していたのもあったんですけれども、自分は去年経験していたので『冷静にやろう』というのはチームに伝えていました」。チームを落ち着かせ、延長戦勝利に貢献した主将は「本当にホッとしました」と微笑んでいた。

 多久島は昨年の選手権予選後に大怪我。今年6月に復帰し、インターハイに出場したが、8月の和倉ユース大会の試合中に再び負傷離脱していた。そして、この選手権予選からチームに合流。試合勘の部分を考慮されてベンチスタートだったものの、黒田剛監督はこれから全国大会までの1か月でコンディションを上げてくれることを期待する。代わってキャプテンマークを巻いていたFW小湊絆(3年)も、「不安な部分もずっとあったんですけれども、復帰してくれたので頼もしいです。多久島が入ってチームも引き締まると思います」と復帰を喜んでいた。

 今年のチームはなかなか結果を出せずに苦しんだ。多久島自身も離脱していた期間が長いが、チームの成長を実感。「守備だったらゴールを隠すというところは春に比べて凄く成長していると思うし、スタメン争いも激化していると思うので春から成長していると思います」。その仲間たちと次は全国大会へ向かう。

 多久島にとって選手権は憧れの舞台。出場が叶わなかった昨年は「めちゃくちゃ悔しくて、夜眠れなかったりもしました」と明かしていた。1年前はチームのサポート役として優勝を経験。今回はこの日のようにピッチ上で仲間たちを落ち着かせ、対人守備やヘディング、ロングフィードなどの武器を発揮して全国連覇に貢献する。

(取材・文 吉田太郎)
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