beacon

[MOM4155]国見GK今村泰斗(3年)_PK戦でリードされても“威風堂々”。2本セーブの大仕事

このエントリーをはてなブックマークに追加

PK戦7人目、国見高GK今村泰斗が止めて決着。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[12.29 選手権1回戦 北海高 1-1(PK5-6)国見高 ニッパ球]
 
 PKに絶対の自信があった。だからこそ、落ち着いていた。堂々としていた。PK戦で先に失敗した国見高(長崎)だが、GK今村泰斗(3年)が2本ストップの大活躍。伝統校に13年ぶりの選手権白星をもたらした。

 1-1で突入したPK戦は北海高(北海道)の交代出場GK葉原慶太(3年)がいきなり1人目をストップ。今村は「1本目止められて、相手はPK要員だったのでさすがだなと思って、これは負けられないなと思った」という。

 心がけていたのは、堂々とすることだ。「PK練習していても、キッカーの方がどうしても緊張するので、GKが緊張しても逆効果だなと思って堂々と、外させるというくらいの余裕を見せようかなと」。相手のキッカーがボールをセットすると、歩み寄ってプレッシャーをかけた。堂々とした姿を見せるとともに、相手のボールの置き方、助走の角度をチェック。そして、3人目と7人目を読み切って止めた。

 3人目は右へ跳んで完璧にストップ。「読んで、相手がGKとの駆け引きよりもコースを決めて打ったので。ボールを置いた時点でこっち(自分の右側に)蹴るなと思って、先に動くくらいの気持ちで止めました」。ベンチの選手たちが飛び出し、センターラインの味方選手も歓喜に沸いた。

 チームメートのFW利根悠理(3年)は今村について、「自信を持ってチームを鼓舞することができて、今までたくさん助かってきたところがあるので、本当にPKでみんな待っている時も『負ける気がしない』と言っていて。そこはチーム全体を盛り上げてくれて助かっています」と説明する。その守護神はインターハイ予選準決勝でゲーム中のPKを阻止。練習でもPK戦の強さを見せている男は、さらにもう1本止めて見せた。

 相手の7人目のシュートを再び右へ跳んでストップ。今村は「自分的にも5人で絶対に終わらせたかったんですけれども。早く終わらせないと、キッカーの方にプレッシャーが来てしまうので。(味方が)決めてくれたので、ここはもう止めるしかないと」。キッカーがボールを置いた際に「何となくこっちかな」と予測し、完璧にシュートをはじき出した。

 これで決着。勝利の瞬間は良く覚えていないという。「あの時は止めれた感情が強くて、何も考えていないです。『ヨッシャー』『マジやってやったな』みたいな」。木藤健太監督は今村を称賛。「良く集中して、相手のキックも良いキックが来ていたので、その中でしっかり間合いを取りながら自分の空気感に持って行くことができていた。相手に流れが行った中でそれを引き寄せたというのは彼の思い切りの良さが出たんじゃないかなと思います」。元気者の3年生GKが、地元の福岡から駆けつけていたという両親と妹の前で輝いた。

 全国大会は今村にとって夢の舞台だった。後悔することなくやり切ること、全力を出し切ることを意識していた。後半、自陣ゴール前のシーンが増えていたが、ミスなく、堂々とプレー。失点も割り切り、相手のファインゴールを称賛する。それよりもリスク管理できずにカウンターを受けたシーンのあったことを反省していたが、味方DF陣の懸命なシュートブロックにも助けられて2点目を許さなかった。

 出た課題については「次の試合は改善したい」。2回戦の対戦相手は強敵・尚志高(福島)。簡単な試合にはならないだろうが、守護神はまた最後方からチームを盛り上げ、自信を持つシュートセーブも発揮して再び国見を勝たせる。

★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


 挑戦し続ける若者を応援したい、挑戦の先にある新たな扉を開くサポートをしたい、そんな想いから第100回大会より全国高校サッカー選手権へ協賛。日本一を目指す高校生たちの挑戦を全力でサポートいたします!

第101回全国高校サッカー選手権 sfida特設ページはこちら!

(取材・文 吉田太郎)

●【特設】高校選手権2022

TOP