beacon

岡山学芸館FW今井拓人が憧れの国立で1G1A「誰も予想していなかった」日本一&得点王へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

岡山学芸館FW今井拓人が同点ゴール(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.7 全国高校選手権準決勝 神村学園高 3-3(PK1-4)岡山学芸館高 国立]

 注目ストライカーFW福田師王擁する神村学園高に2度もビハインドに追い込まれた岡山学芸館高だったが、勝ち越されるたびにすぐさま追いつく粘り強さを見せ、同校史上初の決勝進出を決めた。2度の同点劇を牽引したのはFW今井拓人(3年=ハジャスFC)。完璧な時間帯での1ゴール1アシストが勝利への道筋を切り拓いた。

 憧れだった聖地・国立での全国準決勝。今井は「小さい頃からの夢の舞台で、最初は空気感、雰囲気に圧倒された」ために苦しい前半を過ごした。チームも開始直後に先制ゴールを奪ったが、その後は劣勢を強いられながら同点ゴールを許し、悪い流れでハーフタイムを迎えた。

 それでも今井は後半、しっかりと立て直してきた。「前半は相手ディフェンスに苦しめられたけど、後半に修正できて、ボールを収めることができたし、背後に抜けることもできた」。後半14分、チームは神村学園MF大迫塁(3年)の直接FKで勝ち越しゴールを献上したが、直後に今井の一振りで試合を動かした。

 後半17分、DF中尾誉(3年)の浮き球パスにMF山田蒼(3年)が左サイドを抜け出すと、今井はチームの約束事に沿ってニアサイドに潜り込んだ。「右腕を使いながら反転して、強引にでもシュートしようというイメージがあった」。うまく相手DFの勢いを受け流しつつ、素早いターンから右足一閃。思い描いた流れでゴールに突き刺し、これが起死回生の同点弾となった。

 さらにその後も今井の勢いは続いた。後半24分、セットプレーから再び勝ち越しゴールを許したが、同28分に素早いカウンターから自慢のスピードを活かし、左サイドを突破。最後は相手選手の間隙をぬってグラウンダーパスを供給し、ここからMF岡本温叶(3年)の左足スーパーゴールが生まれた。

 2度もビハインドに追い込まれながら、今井の1ゴール1アシストが2度の同点劇を演出。これで望みをつないでPK戦に持ち込むと、岡山学芸館のキッカーは3回戦の國學院久我山高戦に続いて全員が成功し、同校史上初めて決勝への切符をつかみ取った。

「全国大会が始まる前、まさか自分たちがここまで来られるとは誰も予想していなかった。自分たちの目標であるベスト4を達成した瞬間、目標が変わって、優勝というところに行っていた。苦しい展開になると予想していたけど、チームみんなで絶対勝とうと思っていた」

 そう振り返った今井は決勝戦で二つのタイトルに王手をかけた。この日のゴールで通算3点目とし、神村学園FW福田師王、日大藤沢FW森重陽介、前橋育英FW山本颯太と並んで得点ランキングトップタイに浮上。大会前は「口にはしていたけど、ここまで本気でイメージはしていなかった」という得点王に大きく近づいている。

 すでに他の3選手は敗退が決まっており、もし東山高との決勝戦でゴールを奪えば、単独得点王も見えてくる。最高の状況で迎える高校サッカー生活ラストマッチ。今井は「今日決めてトップに並んだので、次の試合はそれを意識しながらプレーしたい。チームの勝利が最優先だけど、自分が決めて勝利に導きたい」と決意を語った。

(取材・文 竹内達也)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022

TOP