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[MOM4595]近江GK山崎晃輝(2年)_V候補・日大藤沢を破るPKストップ「番狂わせではなく必然」

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PK戦を制し、ガッツポーズを見せる近江GK山崎晃輝(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 選手権2回戦 日大藤沢 1-1(PK3-4)近江 等々力]

 雄叫びをあげ、観客をあおるようにスタンドに向かって両腕を上げた。1-1のまま突入したPK戦。近江高(滋賀)のGK山崎晃輝(2年)は“アウェー”の雰囲気にのまれないように自らを奮い立たせた。

「相手のホームだし、プレッシャーに負けて飲み込まれたら勝てない。まず楽しんでやれたらいいなと思った」。相手は地元・神奈川県代表の日大藤沢。その一人目のキックを横っ飛びで弾き出し、PK戦の流れを引き寄せた。

「相手の選手も分析では左右に蹴り分けていた。その情報を持ちながら思い切り飛んだ」。相手のデータもしっかり頭に入れた上でのビッグセーブ。近江も3人目が相手GKに止められたが、3-3で迎えた5人目、日大藤沢のキックがクロスバーを越え、PK4-3で競り勝った。

 PK戦は夏の全国高校総体(インターハイ)1回戦・成立学園戦でも経験していた。しかし、そのときは1本も止めることができず、初戦敗退。夏の悔しさも晴らした2年生守護神に前田高孝監督も「肝っ玉が座っている。練習と試合では目つきが違う」と感謝した。

 愛媛出身の山崎は小学校時代、センターバックながらPK戦になるとゴールを守るなど当時からPKには自信があった。本格的にGKに転向した愛媛U-15で現役時代に清水などでプレーした黒河貴也GKコーチの指導を受けると、選手権への憧れから清水時代のチームメイトでもある前田監督を紹介され、近江への進学を決意。夢の舞台でPKストップという大仕事をやってのけ、「進路が間違っていなかったと証明したい」とさらなる高みを見据える。

 全国総体4強の日大藤沢を破り、初の16強入り。「世間からしたら番狂わせと思われるかもしれないけど、自分たちもプリンスリーグ関西で2位になって、力を付けてきたと思っている。自分たちからすれば必然の結果」。そう胸を張った山崎は夏の王者・明秀日立と対戦する3回戦に向け、「相手にとって不足はない。自分たちの目標はベスト4、国立。まず明秀を倒して次に進みたい」と力を込めた。

(取材・文 西山紘平)

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西山紘平
Text by 西山紘平

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