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“とにかくサッカーに集中”星稜は本田圭佑世代と同じ市立船橋に敗れ敗退「高校サッカーをやっていてよかった」

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(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 選手権3回戦 市立船橋4-1星稜 柏の葉]

 動揺がないというより、まだ実感が湧かないという方がいいかもしれない。河合伸幸監督も「現状をみていないので」と繰り返した。星稜高(石川)は市立船橋高(千葉)に1-4で敗れ、16強で敗退となった。

 前日夕刻のこと、史上初の元日国立開催となった日本代表戦を見終わった直後のことだった。見慣れた光景を映し出した様子が、全テレビ局の画面を占拠していた。鬼気迫る口調で避難を呼びかけるテレビアナウンサーの様子をただただ見守るしかなかった。

 ただ幸いにも選手らの家族の安否はすぐに確認されたという。中にはなかなか切り替えることが難しい選手もいたようだが、「とにかくサッカーに集中しよう」と声を掛け合って、翌日の試合を迎えていた。

 また現地からの応援団の到着が難しくなっていた中で、昨年12月31日の2回戦で敗退していた日大藤沢高(神奈川)の応援団長が、星稜の応援団長が支援を呼びかけたSNSに反応。最終的に日大藤沢の佐藤輝勝監督が河合監督に電話で許可を取り、友情応援が実現していた。

 前半29分に一時同点とするゴールを決めて会場を盛り上げたMF山口晴(2年)も「(他校の選手が)応援に来てくれると聞いて、応援してくれる人たちのために頑張ろうと思った。負けてしまったほかのチームが自分たちの応援に来てくれたのは感動しました」と感謝の言葉を並べた。

 主将DF倉畑鉄将(3年)も「今日の試合を楽しもう」「全力で戦っている姿をみせよう」と士気を高めて臨んでいたことを明かすと、OBの本田圭佑らと同じ市立船橋に敗れての敗退ということもあり、「コーチに(本田と同期の)橋本晃司さんもいたので、絶対に勝たないといけないと思ったんですけどね。でもそういうチームと出来たことは高校サッカーをやっていてよかったなと思いますし、楽しかった」と清々しい表情もみせていた。

(取材・文 児玉幸洋)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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