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[MOM4610]名古屋GK小林航大(3年)_名古屋グランパストップ昇格GKは中学時代の“ライバル”「少しでもピサノくんに」

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(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 選手権3回戦 岡山学芸館1-1(PK5-6)名古屋 柏の葉]

 止めなければ敗退が決まる相手5人目のPK戦。直前に主将MF田中響貴(3年)が外して迎えていた場面だった。「自分が止めるしか次に続く道がない」。GK小林航大(3年)は相手の動きを最後まで見極めて飛ぶと、両手に当たったボールはポストを叩いて外れていった。

 そして決着がつくことになる7人目のPK。先攻で蹴った岡山学芸館のDF道満智哉(2年)のシュートを、小林は5人目と同じ右に飛んでストップ。前回王者を劇的展開で破る立役者になった。

「絶対に止めるぞという気持ちで臨んでいた。最初のほうに逆を取られていたので、ギリギリまで飛ぶのを我慢して飛ぶようにした。そこは自分の中でまた一歩成長できたところかなと思います」

 中学時代は愛知県の強豪クラブチームのFC.フェルボール愛知に所属。同学年には、名古屋グランパスU-18に進み、来季よりトップ昇格を決めているGKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾がいた。「僕たちの学年はGKが2人しかいなかったので、ほかの学年よりも絆が深かった」。ハイレベルな切磋琢磨があった。

 今でも頻繁に連絡を取り合うという2人。この日も前日に「頑張れ」と連絡があったことを明かす。「自分のライバルだった選手が(名古屋グランパスで)トップ昇格した。自分も負けていられないと思った。ベスト16の壁を超えることで少しでもピサノくんに追いつければいいなと思ったので、それはとてもよかった」。全国区の活躍に胸を張る。

 そしてこれからもライバルに負けないように、自分の道を進みたいと考えている。進学校で注目を集める名古屋高だが、小林も国立大の理系学部への進学を希望。大会参加中の今も、合間を縫って参考書に目を通しているという。そしてその進学先でも「考えている途中ですが、サッカーは続けたい」という夢も抱いている。

 ここまで来たら欲が出てきてもいい。「次の相手も強いけど、一戦一戦自分が出来る最大限のプレーをすれば、勝てると思っている。120%の力を出し切って、勝つことだけを意識して戦いたいと思います」。大会直前の練習で右足首をねん挫した影響で痛み止めを飲んでの出場が続く守護神だが、中1日で迎える次の試合もゴール前に立ちはだかるつもりだ。

(取材・文 児玉幸洋)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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