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全国の舞台で輝いた“武器”…名古屋高DF月岡陸斗、ベスト8敗退も「ここまで来れたのは夢みたい」

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名古屋高DF月岡陸斗(3年)

[1.4 選手権準々決勝 名古屋高 1-2 市立船橋高 柏の葉]

 ボールが放り込まれる。凄まじい飛距離のロングスローにスタンドが沸く。名古屋高DF月岡陸斗(3年)は「どよめいてくれて嬉しかった」と自慢の武器が全国で輝きを放ったことに白い歯を見せた。

 1回戦、2回戦、3回戦と3試合をこなしてきたことで、驚異的な飛距離を誇る月岡のロングスローは注目を集めていた。そして、準々決勝・市立船橋戦でも、序盤から放り込まれるロングスローにスタンドは沸きに沸く。「投げたボールによって反応が違うんです。遠くまで飛んだらどよめいてくれるので、しっかりと飛ばして会場を巻き込みたいと思っていた」。会場が千葉県の柏の葉公園総合競技場ということで市立船橋の応援が多い中、「試合の流れに関係なく、会場の雰囲気を自分たちに持って行ける」という月岡のロングスローは大きな武器となった。

 そして、0-1と1点のビハインドを背負って迎えた前半アディショナルタイムにはロングスローで魅せる。右サイドで得たスローイン。「CKに近い位置だった。直前のロングスローは手前に引っ掛かっていて、GKは前を意識していると思っていたので、とにかくしっかり飛ばそうと思った」。思い切りよく投げ込まれたボールはニアサイドに位置したGKギマラエス・ニコラス(2年)の頭上を越えると、相手選手のオウンゴールを誘って貴重な同点ゴールが生まれた。

「あれって、アシストにならないんですかね」とおどけつつも、「ただ、得点に絡めて良かったです」と笑顔を見せた。

 しかし、チームは後半2分に市立船橋に勝ち越しゴールを許してしまう。まずは試合を振り出しに戻そうと、その後も左サイドからチャンスメイクするだけでなく、ロングスローからゴールに迫る場面を作り出した。だが、反撃実らずに1-2の敗戦。チームは準決勝進出を逃した。

 初出場の全国の舞台でベスト8と躍進した。「正直、想像していなかった。初戦の日章学園さんから手強い相手だったので、ここまで来れたのは夢みたいです」と語りつつ、「3年生は9人しかいないけど、毎日が幸せでした。国立まであと一歩届かなかったけど、それは後輩に託したいと思います」と充実した表情を浮かべながら、後輩たちにエールを届けた。

 小学生、中学生時代から現地で観戦をしていたという選手権の舞台。「選手権でプレーする選手を見て、ずっとここに立ちたいと思っていた。プレーヤー側として立てたと思うと、感動でとても嬉しい」と話すとともに、「今日見てくれた小学生や中学生に少しでも元気や勇気を与えられたら嬉しいですね」と続けた。80分間ピッチに立ち続け、ロングスローという武器で会場を沸かせた。名古屋の背番号13のプレーに心を奪われた少年は間違いなくいただろう。

(取材・文 折戸岳彦)

●第102回全国高校サッカー選手権特集
ゲキサカ編集部
Text by ゲキサカ編集部

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