[1.8 選手権決勝 青森山田 3-1 近江 国立]

　1年後、必ずここに戻ってくる。近江高(滋賀)のゴールを守り続けたGK山崎晃輝(2年)はその決意を強くしていた。

「あと一つで日本一だったので、負けたのは悔しい。でも小さいころからの夢だった国立のピッチに立てたことはうれしかった」。悔しくないはずがない。それでも、過去2回の出場はいずれも2回戦敗退だったチームが怒涛の快進撃で決勝まで勝ち上がり、国立で2試合を戦うことができた。

「周りからの見られ方も変わったと思うし、選手権の力は大きいなとあらためて思った」。2回戦の日大藤沢戦(1-1、PK4-3)、3回戦の明秀日立戦(1-1、PK4-2)はいずれも先制を許しながら、後半に追いつく粘りを見せ、PK戦で競り勝った。準々決勝の神村学園戦(○4-3)は激しい打ち合いを制し、逆転勝利。「追いかけるときの近江はどこよりも面白いサッカーをする。後ろから見ていても面白い」(山崎)という驚異の粘りと分厚い波状攻撃で観客を沸かせた。

　決勝も先制されたが、後半2分に同点ゴール。そのまま勢いに乗るかと思われたが、青森山田に押し返された。山崎は「青森山田さんが王者の戦い方というか、流れを持ってこさせない試合運びでなかなか押し返せない時間が続いた」。後半15分、相手GKのロングキックから一瞬の隙を突かれ、勝ち越しを許すと、同25分にもカウンターから失点し、万事休した。

　決勝後の取材エリアで山崎は「オフを挟んでまたみんなでサッカーをやる感覚というか、まだ実感がない」と、簡単には気持ちを切り替えられない様子だった。大会は終わり、3年生は卒業していく。2年生の守護神は来年度、最上級生としてチームを引っ張っていく立場にもなる。「今年で終わりと思ってやってきていたし、正直、来年のことは考えられていない」。そう本音を打ち明けると、「このピッチでの負けはこのピッチでしか返せないと思う。またこのピッチに帰ってきたい」と静かに誓った。

(取材・文　西山紘平)

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●第102回全国高校サッカー選手権特集