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全試合先発の近江DF安田旭、快進撃の中で途中交代続くも「最後に楽しかったと思うことができました」

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全5試合で先発した近江高DF安田旭(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.8 選手権決勝 青森山田高 3-1 近江高 国立]

 決勝も含めた近江高(滋賀)の全5試合に先発し3バックの右センターバックを務めたのが、DF安田旭(3年)だった。

「日大藤沢戦から明秀日立戦、神村学園戦では自分はスタメンで出ることができたんですけど、途中交代になってしまって。なかなか自分の思うようなプレーができなかった」と、2回戦から準々決勝までの最初の3試合を、安田は振り返る。その3試合はいずれも1点を追いかける中での途中交代、ディフェンスの選手としては悔しい思いがあったことは間違いない。それでも、「仲間が繋いでくれた」選手権。「後半にみんなが活躍してくれたので、とても嬉しかったです」とチームメイトに感謝した。

 チームとして目標としていた国立競技場に舞台を移した準決勝と決勝では、90分を最後まで戦う背番号2の姿があった。

「守備のところで体を張るとか目の前の相手に負けないっていう部分で、負けてしまったところもあったんですけど、自分の長所を生かしてやれました。フルで出れましたし、戦えたんじゃないかなと思っています」

 4-3で撃ち勝った神村学園戦のように、攻撃サッカーで観客を魅了した近江。主将のDF金山耀太(3年)が3バックに入っているときでも攻撃参加をするように、5枚、6枚と相手ゴール前に人数をかける姿が印象的だった。それだけに守備陣は負担を強いられたが、安田は仲間を信じていたという。

「攻撃の選手が絶対にやりきってくれるっていう気持ちで、それを信じて後ろも西村想大を中心に、最小失点でいくぞっていう気持ちでやっていました」

 快進撃を続けて頂点まで駆け上がろうとしていた近江を止めたのは、青森山田だった。前田高孝監督が青森山田を「上手い」チームと警戒していたように、分析で「わかってはいた」が、「いろんなスピードが速かった」ことをピッチで体感したと安田。2失点目、3失点目は相手陣内から10秒ほどでペナルティエリアまで運ばれてしまった。

 あとひとつ届かなかった日本一。悔しくないはずがない。それでも「こんな日があるんだな。3年間はこの日のためにあったんだな」と思えた決勝戦。「最後に楽しかったと思うことができました」。悔いのない高校サッカーだった。

 大学でもサッカーを続けるという安田は、「全国でここまで経験できる選手は数少ないので、大学でも絶対生きてくると思います。大学でも大きな舞台に立てるように頑張りたいと思います」と力を込めた。

(取材・文 奥山典幸)

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奥山典幸
Text by 奥山典幸

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