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インカレで輝いた“2つの武器”、新潟医療福祉大の仙台内定MFオナイウ情滋はベストMF受賞

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新潟医療福祉大MFオナイウ情滋(4年=正智深谷高/仙台内定)

[1.1 インカレ決勝 新潟医療福祉大 2-3 桐蔭横浜大 国立]

 優勝は逃したが、今大会ベストMFを受賞した。新潟医療福祉大MFオナイウ情滋(4年=正智深谷高/仙台内定)は先制ゴールの起点を作る活躍。栄えある賞に「堂々とその自覚と責任を持ってやっていかないと」と喜びを口にした。

 類まれなるスピードでも注目されたが、今大会ではもうひとつの武器である高い精度のキックも目立った。セットプレーのキッカーも務めるオナイウは、今大会初戦に右CKでチーム2点目の起点となる。3回戦でも先制点はオナイウの右CKが敵陣内にピンポイントに落ち、味方のシュートを演出。準決勝では右サイドから精度の高いクロスを上げ、決勝点をアシストした。

 決勝でも再びオナイウが起点になった。前半23分、左サイドのFKを細かいパスでリスタートすると、クロスボールはPA手前へ。待ち構えたオナイウはダイレクトでシュート性の弾道を放つ。「こういう舞台で思いっきりやらないことが一番よくない。中途半端なことをするよりは強めにインパクトして、シュートを打てば何かあると思った」。相手選手に当たったボールは浮き球となり、ファーサイドに飛ぶ。FW田中翔太(3年=青森山田高)が胸でトラップし、ゴールに押し込んだ。

 インカレで光ったキック精度は、2年次から始めた練習の賜物だった。「翔太や(小森)飛絢に協力してもらい、クロスの練習をしたり、走って上げるだけではなくアーリークロスを入れたり。そういう練習をしてセットプレーのキッカーも任せてもらった。こだわる気持ちは強くなった」。多くの起点を作ったものの、アシストという数字に表れたのは準決勝のものだけ。「自分としては悔しいし、まだまだやらなければいけない」。

 目前で優勝を逃したことにも悔しさをにじませた。それゆえに大会終了後に発表されたベストMF受賞には謙遜する。「ほかの人がよかったんじゃないかという気持ちがあった。でもありがたいことですし、自分を卑下してもほかの人に失礼。そこは堂々とその自覚と責任を持ってやっていかないと。それこそ取れなかった人に申し訳ない。そのことだけは絶対に忘れずに大切にしていきたい」。成長の証を手に、来季はベガルタ仙台でJリーガーとしての生活を送る。

 5歳年上の兄は、元日本代表のFWオナイウ阿道(トゥールーズ)だ。“阿道の弟”というレッテルは奮闘の原動力となったという。「(レッテルを)ひっくり返してやろうという気持ちが強い。そういう意味では兄の存在は本当にいいモチベーション。兄が近くでいろいろ努力をしているのを見てきたし、追いついて追い越したい」。ようやくたどり着いたプロの舞台。兄との距離を縮めるチャンスにしたい。

 そのためにも、自身の武器はさらに研鑽する。大学で伸ばしたキック精度はたしかな手応えとなった。「でも、これからもっと上げていかないと通用しない舞台。もっとそこはこだわる。自分のプレースタイルならそこはひたすらこだわり続けて損はない」。決勝が行われた国立競技場のスタンドには、熱心な仙台サポーターの横断幕が掲げられた。「あの熱さのもとでプレーできることは本当に幸せなこと。その声援に応えたいという気持ちも強い」。来季からは仙台でハイスピードと高精度キックをお見舞いするつもりだ。

(取材・文 石川祐介)
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