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本田が変える 本田で変わる

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 故障明け、そして帰国翌日が試合という極めて厳しい条件でも、MF本田圭佑(CSKAモスクワ)に寄せられる期待が抑えられることはなかった。むしろブルガリア戦での完敗を経て、期待はますます膨らんでいる。

 キャプテンのMF長谷部誠(ボルフスブルグ)は公式会見の席で、本田が入ることによってもたらされる変化についてこう言った。「圭佑は日本代表にとって重要な選手の一人だし、彼の強みはゴールを取れることでもある」

 チームは本田を欠いたブルガリア戦で無得点。同じく本田不在で敗れた3月26日のヨルダン戦でも1ゴールと、得点力が落ちている状態だ。オーストラリア相手に無失点で90分を終えるのは至難の業でもあり、日本はどうしてもゴールが欲しい。本田の得点力には期待が大きい。

 FW香川真司(マンチェスター・U)は本田とのコンビネーションプレーに活路を見いだそうとしている。

「コンディション的にはタフだと思いますが、試合になったら必ずお互いが意識してやれると思う。そうすれば結果が出ると思う。チームとしての決まり事はあるけど、状況に応じたプレーを意識してやっていきたい」

 香川と本田のパス交換から生まれたチャンス、得点は過去に山ほどある。香川自身もゴールの可能性が高まる。

 FW清武弘嗣は「やっと真司くんと岡さん(岡崎慎司)と(本田)圭佑くんがそろったので、自分もその中に入って一緒にプレーしたい。それぞれタイプは違うので、いろんな動きはあるが、自分もゴールに絡むプレーができればと思うし、試合を決定づける仕事ができればと思う」とイメージを膨らませた。

 DF長友佑都(インテル)にとっては文字どおり“心強い”メンタル面での相棒だ。

「日本代表全体に、W杯がほぼ決まっているというちょっとぬるい空気が流れていたと思う。それをミーティングで意見をぶつけ合って、目指す方向性や自分たちの持つメンタリティーを話し合えたことで引き締まった」と言いつつ、「(本田と2人で)僕らが引っ張らないとだれが引っ張るんだというくらいの気持ちでやらないといけないと思っている。僕らには引っ張る使命があるんじゃないかと思っている」と力を込める。

 本田の合流が迫った2日、チーム内には「(本田が)入ってきたらすごい力が加わる」という会話があったという。清武は実際に本田が合流したあとの様子を「言葉じゃなく、あの存在感で引き締まった」と説明した。

 だれもが待ち望んだ“真打ち”の合流。本田によって変わった日本代表がオーストラリアを破り、スッキリと5大会連続のW杯切符をつかんでくれるはずだ。

(取材・文 矢内由美子)

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