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カタールW杯出場決定オンライン記者会見要旨

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 日本サッカー協会(JFA)は26日、カタールW杯出場決定記者会見をオンラインで開いた。JFAの田嶋幸三会長、反町康治技術委員長、日本代表森保一監督、吉田麻也主将が出席した。

 以下、会見要旨

●田嶋幸三会長
「多くのメディアを通して応援してくださった国民の皆さん、ラジオを聞いてハラハラしてくださった方々、インターネットのテキストを見てドキドキしてくださった方々、シドニーまで駆けつけてきたサポーターの皆様、心の中も含めて応援してくださったサポーターの皆様に感謝申し上げる。そして何よりも日頃から子どもたちの指導、審判、代表選手を育ててくれた方々、関わってくれた多くの方々に感謝している。日本サッカー協会を支えてくださっているキリン様、アディダス様はじめ、多くのパートナー企業のみなさんに感謝申し上げたい。W杯最終予選を突破したこと。これは日本サッカー協会の会長として最低限のハードルをクリアしたと思っている。これからカタールに向けて新たな準備をし、新たなスタートを切らないといけない。あらためて険しい道のりだった。予選というのはそんなに簡単に勝てるものではない。昨日のイタリアvs北マケドニアの試合を見させてもらい、ほんとうにいたたまれない気持ちになった。サッカーは本当に怖いスポーツ。そのプレッシャーを一番知っているのは森保監督。ドーハの悲劇を経験している。そしてここにいる吉田麻也選手以下、選手たちもそのプレッシャーと闘いながら、昨年9月から始まったこのW杯予選突破を1試合を残して決めることができたこと、本当にホッとしている。この勝利というのは日本サッカーの歴史がそうさせてくれたと思っている。1921年に日本サッカー協会が創立され、関東大震災、第2次世界大戦を経て、“出ると負け”協会と言われたこともあった。東京五輪、メキシコ五輪の銅メダル、低迷の時期を経て、Jリーグが発足し、2002年の日本でのW杯開催が決まり、初めてフランスでW杯に出場し、なでしこがW杯で優勝し、Jリーグが30年を超える歴史を作ってきた。U -20、U-17では男子も女子も素晴らしい活躍をしてくれている。フットサルもビーチもあり、バランスの取れたサッカー協会であることはFIFAもAFCも認めてきた。この素晴らしい歴史があったからW杯予選を突破できた。多くの皆さんに感謝するとともに、その責任をまた感じながらカタールに向けて出発したい」

●反町康治技術委員長
「田嶋会長の言葉にあったように、全てのサッカーファミリーに感謝申し上げたい。選手というのはわれわれが指をくわえて出てくるものではない。特に優秀な選手はなおさら。普及も含めて指導者との関わり、ユースの育成、そしてプロになる中で、たくさんの方々にサッカーファミリーとして関わっていただいている。こちらからおめでとうと伝えるとともに感謝している。同時にステークホルダー、代表サポーティングカンパニーの皆さん、コロナでこの2年間なかなか思い通りの活動ができない中、サポートを続けていただきありがとうございます。Jリーグの関係者の皆さん、海外組で活躍している選手のクラブの皆さん、そうした皆さんの協力、選手を快く送り出してくれることでわれわれは気持ちよく活動できている。あらためて感謝申し上げたい。田嶋会長からもあったように、(最終予選は)なかなかスタートダッシュがうまくいかずに非常に苦しい状況になったことは間違いない。しかしスタッフ、選手一同が逃げず、真っ正面から向き合って活動してきた結果、こうして(W杯への)切符を勝ち取ることができた。選手・スタッフに感謝したい。そして日本代表を応援するサポーターの皆さんに改めて感謝したい。人数の制限、地上波の制限で、なかなか大手を振って応援できる状況ではなかったかもしれない。そうした中、いろんな媒体を使って声援を送っていただいたことに感謝したい。特にシドニーでの試合はたくさんの声援を現地でしてくださって、本当にわれわれの力になった。本当に総力戦という中で、皆さんの力がわれわれのためになった。なかなか最初上手く行かないがため、われわれの目標を下方修正して、まずはW杯出場だというのを念頭に置いてやってきた。そして出場が決まったいま、これからはW杯ベスト8を目標に頑張っていきたい。次のベトナム戦がスタート。これから熾烈な争いがチーム内でも起きると思う。Jリーグ、海外組でも新しい選手がたくさん出てくると思っている。一番いい状況でカタールに乗り込み、本大会を迎えたい」

森保一監督
「サッカー日本代表を日頃から応援してくださっているサポーターをはじめ、国民の皆さんに日頃の応援のお礼を伝えたい。カタールW杯に向けて、われわれアジア予選を突破できたが、最終予選は本当に厳しい戦いの連続だった。厳しい戦いの中でサポーターの皆さんがいつも変わらぬ応援をし続けてくれたことで、選手・スタッフが下を向くことなく前進できた。全ての方に感謝したい。われわれを応援してくださったサポーター、国民の皆さんと喜びを分かち合える結果を出せて幸せに思う。しかし、第一関門を突破したに過ぎない。カタールW杯に向けて歴代最高の成績、ベスト8以上を掴み取るべく、ベトナム戦から最善の準備をし、一戦一戦全力で戦い、目標を達成したい。引き続き見守りいただき、応援よろしくお願いします」

吉田麻也主将
「まずはホッとしている。非常に環境下でチーム一丸となってこの結果を勝ち取ることができて非常に満足しているし、協会スタッフ、テクニカルスタッフ、メディカルスタッフ、非常にたくさんの方々のサポートのおかげで選手たちはプレーに集中することができ、あとは結果を出すだけだというサッカーをさせてもらう環境に身を置くことができた。移動も含めてスケジュールがタイトで、タフな予選を強いられてきたが、なんとか結果を出すことができて心の底から嬉しい。ただもう1試合あるし、このリーグを1位で突破することが、僕たちがアジアで自分たちの力を改めて示すいい機会だと思っている。僕たちの目標はカタールW杯でベスト8に行くこと。日本サッカーの歴史を塗り替えることがチームの目標で僕自身の目標。一から競争が始まるし、協会から各選手まで、一人一人がさらに日本サッカーを高めていけるよう頑張っていきたい。

——(森保監督に)昨日帰国して日本に戻ってきて出場権を獲得した実感は。
森保「昨日帰国して成田空港のいろんな検査などをクリアして、われわれがホテルが行くまでに空港でたくさんの皆さんが出迎えてくださって、声は出せないがお祝いのメッセージなどを掲げていただき、出迎えてくださって、アジア予選を突破したんだという気持ちになった。オーストラリアで戦って、現地でもたくさんの日本人が応援に来てくださって、喜びを分かち合ってきたが、国内に戻って、本当に多くの皆さんに応援していただいたんだなという感謝の気持ちがわいてきた」

——(森保監督に)ベトナム戦はどのような意識で戦っていきたいか。
森保「高い目標、高い基準を持ちながらも目の前の一戦に全力を尽くし、勝利を目指すことをこれまでやってきた。ベトナム戦も目の前の一戦に変わりない。吉田キャプテンも話していたが、このグループを1位突破すること、その後のカタールW杯での目標達成につなげられるように勝利を目指して戦いたい。戦い方はこれから選手のコンディションを見極めて、勝つためにベストな選択をしたい」

——(森保監督に)日本人として4年間率いてW杯を突破した初めての監督になった。プレッシャーもあったと思うが、その意義はどう捉えているか。
森保「いま言っていただいたような日本人指導者として予選を全て戦って初めてW杯出場を決めたと私のことを話していただいたが、私一人で戦っているとは思っていない。常に日本のサッカーファミリー全体で普及・育成の指導者、環境づくりをしてくださった方々と一緒に日本代表を強くしてきて、目標に向かっていると思っている。プレッシャーが一つあるとすれば、W杯に6大会連続で出続けている中で、日本人指導者として7回目を目指すというところで、私がもし結果を出さなければ日本人指導者の評価が変わってしまうことにはプレッシャーがあった。世界で結果を出すというところには至っていないが、アジアの中では日本人指導者がしっかりと勝って、そして世界に挑める、世界を追い越していけるというところを他の指導者にも新たに自信を持って頂いて、評価につながるといいなという思いでやっていた」

——(田嶋会長に)9月の活動を終えて、森保監督への信頼は揺るがないと言っていたが、6連勝という今までになかった結果でW杯本大会の出場が決まってどう捉えているか。
「このW杯予選の厳しさを選手としても体験していること、Jリーグの優勝経験も日本人としてトップクラス。そのことを考えると西野(朗)技術委員長時代だったが、一度決めたからずっとやるという気持ちは持っていなかった。危機だ、危機だというのが本当にチームの危機なのかはチームの内情、選手との関係を見ている中で揺るぎないと思っていたから確信を持って契約していただいた。様々なことを考えることはリスクマネジメントで必要で、ちゃんとしているからこそチームが前に進めると思っているが、あらためて森保監督を信頼し、信じて、ここまでサポートできてよかった」

——(吉田に)いままでの経験も踏まえ、カタールW杯に向かう上で必要なことは。
吉田「本大会でいいコンディションに挑むことが大事。Jリーグは始まったばかりだが、シーズンの中でいいコンディションで本大会に挑んでいく。いつもと違って、本大会前の準備が短いので、集まってすぐに大会になる。コンディションが難しくなる。コンディションにバラつきがあるので整えるのが大事。またこれから闘い方も多少は変わる。アジアと世界で戦い方も違うし、本大会ではプレッシャーで体が動かなくなったり、走れなくなることもある。戦い方は柔軟にしていく必要があるし、それを経験のある選手が伝えていく必要がある。選手の構成も変わるだろうし、選手としても競争が始まる」

——(吉田に)苦しい最終予選だったと思うが、今までの予選以上に支えになったものは。
吉田「今までと違うのは自分の立ち位置がまず一つ全く違った。その中で五輪が終わって頭を切り替えて最終予選と臨んだ1試合目でつまずいて、きちんと頭の整理と心の整理ができていたか自問自答したが、2試合目の後に長友選手が部屋に来て、発破をかけてくれたというか、熱量を持って挑まないとダメだろうと言われて目が覚めた。頬を叩かれたような気持ちになった。ピッチでパフォーマンスを高めていかないと説得力が出ないし、そこを意識して予選を戦った」

——(吉田に)予選中にメンバーが入れ替わって、柴崎岳がメンバーを外れた。また前回予選で活躍した原口元気がベンチスタートだった。前回は本田圭佑がした役割だったかもしれないが、そうした振る舞いについて感じたことは。
吉田「ヨーロッパでもいくつかのチームでプレーして、キャプテンを任されることもあったが、予選を戦っている中で出る選手、出ない選手もわかるし、ポジションを奪われることもある。それは年が上になるほど受け入れるのが難しいし、どう振る舞うかが難しくなる。その中でも柴崎、原口、川島(永嗣)選手もそうだが、ベンチでの振る舞いを若い選手に見せることで、出場機会の短い若い選手がどう振る舞うかをわかることができるし、このユニフォームを着て、日の丸を背負って戦う意味を理解するようになる。経験ある選手に助けられたと思う。非常にいいチームだなと感じている」

——(反町委員長に)一番近くでチームを見ていて、このチームで大丈夫だと確信を持てるに至ったのはいつか。また新型コロナの影響で大変だったと思うが、どこが大変だったか。
反町「まず一つはやはりターニングポイントになったのは、ホームで行われたオーストラリア戦だと思っている。選手の並びを変えて若い選手を投入したり、チームのエネルギーがアップした。そのままいい結果につながったのが一つの大きなポイントだった。そういった意味ではあの一戦は非常に苦しいゲーム展開だったけれども、次につながった要因、ここまできた一つの要因だった。もう一つはコロナ禍によって、東京五輪が1年延期になった。それに伴い、強化方針の変化、U-24のスタッフ編成、最終的に1チーム2カテゴリということで横内代表コーチをU-24代表監督に据えて、そこで連携をより密にしてやっていくことを選択した。今回、(最終予選メンバーに)林大地が呼ばれて、残念ながら合流が遅かったのもあって(kんかいは)ベンチの外になったが、彼らがすぐ入っても馴染むことができる環境というのは、1チーム2カテゴリによってできてきたんじゃないかと思っている。コロナによって難しい選択を迫られたし、また運営上用意していた強化試合が延期になり、制限されていた中でも、できる範囲のことをやってきたつもりでいる。そうした意味で歩みを止めず、海外に行って海外組でチームを作ってやった試合とか、皆さんのアイデアのもとで強化に歩みを止めなかった、この苦しい状況でも繋いでこられたこと、そして多くのサポーティングカンパニーの皆さんが継続して応援してくださったことがチームの力になったのは間違いない」

——(吉田に)いろんな代表監督のもとでプレーしたと思うが、森保監督が他の監督と異なっているところは。隣にいて言いづらいと思うが。
吉田「本当に言いづらいですね(苦笑)。日本人監督ということで非常に大きなプレッシャーがあったと思うし、初戦と3戦目でつまずいたことで予選を難しくしてしまったと思うが、監督は1ミリもブレなかった。比較的多くの監督と接してきたけど、悪い時にブレてしまう監督は存在していて、選手もそうなると不安に思うし、疑問を抱きながらプレーすることになる。それが一切見受けられなかったのがすごい。また監督としてというより、人としてリスペクトできる方だと感じている。学ばないといけないなと思いながら見ていた」

——(反町委員長に)インターナショナルマッチデーの使い方だが、6月と9月にある。7月にはE-1選手権もある。欧州遠征に行ければ良いと思うが、欧州はネーションズリーグもある。どう使おうと考えているか。
反町「4月1日にドローがカタールで開かれる。そこに出席し、まずどの相手とやるのかをしっかり見ていきたい。そうした中で6月にIMDで4試合行いたいと考えている。7月中旬過ぎからE-1選手権がある。これは海外のチームに所属している選手は参加が難しいので、基本的にJリーグの選手、日本にいる選手で構成して臨みたい。Jリーグの協力もあり、その期間はJ1の試合がないので、いい強化の場になると考えている。11月後半にW杯本大会が始まるので、今回は9月後半にIMDがある。最後の力試しになるし、メンバーを絞る上で大事な試合になる。できればいい相手、強い相手とやりたい。ドロー次第なので言明できないが、とにかく強い相手とやっていきたい。W杯に出場する相手が理想だが、ネーションズリーグで欧州の相手と戦うのは難しいが、いい相手でやりたい」

——海外に出向いてやりたいか。
反町「いい質問ですね。9月のところはそういうことも視野に入れながらやっていく必要もあると思っている」

——6月は難しいのか。
反町「海外組の選手もヨーロッパのシーズンが終わっているので、日本で調整する形が多くなる。それも視野に入れて考える」

吉田「一つ言い忘れました。ベトナム戦、せっかく6万人収容できるらしいので、なかなか予選を通してサポーターの前でプレーすることができなくて、僕だけじゃなくて選手みんなが寂しがっていました。まだ声は出せないですけど、次のステップとして6万人、たくさん集まって、みんなで勝って、もう一回W杯出場をみんなでお祝いして喜び合いたいなと思っています。サッカーの日本代表が6万人集めて、クラスターを出さずに試合を終えることが次のスポーツイベントにつながると思うので、ぜひみなさんスタジアムに足を運んでいただけたらなと思います。僕たちも最高のパフォーマンスでお返ししたいなと思っていますので、ぜひとも足を運んできて欲しいなと思います。テレ朝さんもたくさん宣伝してほしいと思います。以上です」

●カタールW杯アジア最終予選特集
●カタールW杯各大会予選一覧
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