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名守護神たちとの対戦に目を輝かせるGKシュミット「本当に夢の舞台に来たんだなって…」

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GKシュミット・ダニエル(シントトロイデン)

 9月のドイツ遠征で好パフォーマンスを見せたGKシュミット・ダニエル(シントトロイデン)が、カタールワールドカップの正守護神をかけて日本代表に合流した。ただでさえ大きな重圧のかかるW杯、それも初経験となればなおさらだろう。しかし、シュミットは言い切った。「出番が来たらプレッシャーはあると思うけど、せっかくなら楽しんだほうがいい。もし試合に出られるチャンスがあったらできるだけ楽しもうと思っている」。大舞台のプレッシャーよりも祝祭ムードを全身に浴び、前向きな気持ちで夢のピッチに立つつもりだ。

 シュミットは2018年11月、キリンチャレンジカップ・ベネズエラ戦でA代表デビュー。その後もコンスタントに招集され、19年3月のボリビア戦からは3試合連続で出場機会を掴んだ。ところが9月、パラグアイ戦直前の負傷で出場機会を失うと、W杯2次予選ではGK権田修一が守護神に君臨。その序列は以降も変わることなく、最終予選序盤ではメンバー落ちも経験した。

 それでもシュミットは再び第一線に戻ってきた。2019夏年に移籍したシントトロイデンでパフォーマンスを立て直すと、今年1月の最終予選で半年ぶりに代表復帰。W杯出場権を決めた直後の6月シリーズでパラグアイ戦、チュニジア戦と出場機会を掴むと、9月のドイツ遠征では権田の負傷もあって2試合135分間に出場し、特にフル出場のエクアドル戦ではPKストップを含む大活躍を見せた。

 そうして掴んだカタールW杯への切符。最終予選で守護神を担ってきた権田か、ドイツ遠征で好プレーを見せたシュミットか——。森保ジャパンでは本大会直前になっても、質の高い正ゴールキーパー争いが繰り広げられる状況となっている。

 ところが、シュミットは「あまりそこは考えていない」という。

「とにかく自分がいい状態で初戦の日にちを迎えることが一番大事だと思っていて、その上であとは監督が決める。出るなら出るでしっかりやりたいし、出ないにしてもしっかりチームが勝てるようにサポートしたい。どっちに転んでも責任は伴うので、それも楽しめたらいい」。W杯という大舞台を「楽しむ」ことにフォーカスし、気持ちをコントロールしているようだ。

 所属先のリーグ戦を12日に終え、13日夜にドーハ入りしたシュミット。現地は徐々にワールドカップの雰囲気が高まっている中、そこで感じていたのも重圧ではなく喜びだったという。

「まず空港に着いたところから本当にW杯に来たんだな、本当に夢の舞台に来たんだなっていう実感が湧いてきた。今日の練習場に向かうバスでも、そこから眺める景色で街がW杯モードになっているのを見て、ここに来られたんだなと嬉しく思っています」

 世界各国の名手たちを参考にしながらここまで上り詰めてきた“GKマニア”のシュミットにとって、W杯は夢のような見本市。同じグループを見渡してもドイツのマヌエル・ノイアー(バイエルン)、マルク・アンドレ・テア・シュテーゲン(バルセロナ)、ケビン・トラップ(フランクフルト)、スペインのウナイ・シモン(アスレチック・ビルバオ)、ロベルト・サンチェス(ブライトン)、ダビド・ラヤ(ブレントフォード)、コスタリカのGKケイラー・ナバス(パリSG)ら世界的スターが立ちはだかる中、そこに名を連ねることに幸せを感じている。

「幸せですね。これ以上ない面々だと思うし、実際に対戦して学べる部分はたくさんあると思うし。さらに自分の成長につながる大会になればいいなと思っています」

 豊富なW杯経験を持つシントトロイデンのチームメートFW岡崎慎司、MF香川真司から「人生を変える大会になるから頑張って」と送り出され、カタールの地を踏み締めたシュミット。「僕はとにかくワクワクしてるんで。まずW杯に来られたということがいちサッカー少年的な気持ちとしてすごくうれしいし、全力で楽しみたい」。197cmの心優しき守護神は少年のような心で夢の舞台に挑んでいく。

(取材・文 竹内達也)

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