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JFAとANAがパートナー契約合意!! 井上社長「価値観に共鳴したのが大きな理由」日本代表も今後はANA便利用へ

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JFAとANAがメジャーパートナー契約に合意

 日本サッカー協会(JFA)は27日、全日本空輸株式会社(ANA)とのメジャーパートナー契約締結に合意したと発表した。契約期間は北中米ワールドカップが行われる2026年末まで。日本代表や世代別代表の国内外への遠征、選手育成、指導者養成、審判、グラスルーツなどでのサポートを受けるという。

 JFAとANAは同日、東京都内のANA機体工場内で記者会見を開いた。冒頭ではANAの井上慎一代表取締役社長が「航空業界の日本代表として世界にチャレンジして参ります。青い炎と熱い気持ちを持った両者が手を取り、世界中を期待や喜び、そしてワクワクで満たしたいと考えております」、JFAの田嶋幸三会長が「ANA様の翼に夢を乗せ、世界に羽ばたきたい」などと挨拶した。

 JFAは1999年以降、日本航空(JAL)と日本代表チームサポーティングカンパニー契約を結んでおり、移動には同社の便を使用していたが、今後はANAの航空便を使用することになる。3月の国際Aマッチでは欧州組の招集も予定されている中、田嶋会長は「選手たちもANAさんの翼で日本に戻ってくる」と説明。また航空会社との契約は「1社だけ」と明言した。

 もっとも、ANAの井上社長は今回の契約について、JALとの競合関係とは「軸が違う」と強調する。契約の背景については「田嶋会長が目指しているサッカーの方向性、価値観に共鳴したのが大きな理由。過去がどうだったかは意識せず、いまサッカー協会さんがやろうとしていることに強く共感させていただいたのでこうしたご縁になった」と説明した。

 井上社長は契約に至った経緯を「最初に感銘を受けたのは、田嶋会長の高い志。日本の代表だけをハイライトするのではなく、47都道府県の地方の活性化という視点はびっくりした」と前向きに振り返り、JFAが全国各地で行っている普及・育成などの活動に着目。「47都道府県で真剣なスポーツだけでなく、健康や幸せをもたらすという発想に心を捉えられた」と述べ、“地方創生”が一つのテーマになっていることを明かした。

 またJFAの田嶋会長も「グラスルーツ、47都道府県をどう活性化していくか、地域の子どもたちが育つ環境をどうするかをしっかりやっていきたい。地方創生というキーワードは井上社長からもいただき、改めてやらないといけないと思った」と述べ、ANAが持つ国内拠点との協力に意欲。同社の海外拠点も活用しながら「世界をお互いが目指していくことで両方の価値が上がっていく」とパートナーシップの展望を描いた。

 加えて質疑応答では、日本代表が国際Aマッチの際に使用してきたチャーター便にも話が及び、JFAの田嶋会長は「真っ先にご相談したい」とANA機の活用に意欲。ANAの井上社長は「ANAグループは定期便だけでなく、政府専用機の運航も受託している。こうしたノウハウを全て駆使して日本サッカー協会さんのニーズにお応えしていく所存」と前向きに述べた。

▽ANA 井上慎一代表取締役社長のあいさつ要旨
とてもワクワクしております。W杯でのサッカー日本代表の活躍は世界中の多くの人々に興奮と感動をもたらしました。その余韻はいまも私の脳裏に鮮やかに刻まれています。皆さんも同じではないでしょうか。その日本サッカー協会とANAが本日、メジャーパートナー契約に関する基本合意を締結するに至りました。ANAグループの「ワクワクで満たされる世界を」という新しい経営ビジョンをまさしく体現する取り組みの一つになると確信しております。ANAはこれまでもアスリートの活動をサポートして参りました。アスリートの皆さんの挑戦する姿勢、目標に向けてたゆまぬ努力をする姿勢、これはANAが脈々と受け継いできた挑戦するDNAであり、ANAの行動指針である「チームスピリット」「努力と挑戦」と多くが共通しております。本日、日本サッカー協会とメジャーパートナー契約に基本合意することは、私たちANAが日本サッカー協会と共に世界に挑戦をし続けるということを表明することでございます。私だけでなくANAグループ社員全員がワクワクしております。ANAと日本サッカー協会はコーポレートカラー、チームカラーが同じブルーでございます。またお互いに高い目標、約束を掲げ、その実現に向けてたゆまぬ努力と挑戦を続けております。それもANAではANA's Way、日本サッカー協会ではJapan's Wayといった日本の組織として独自の手法、コンセプトで取り組んでいる部分も共通しています。加えて持続可能な社会の実現に向けて、社会課題の解決に積極的に取り組んでいることも、誠に勝手ながら共通していると考えております。今後も両者の共通点を活かし、全国のサッカー協会と、ANAの海外48拠点、日本国内33拠点が共同した地域活性化活動も検討して参ります。私たちANAも航空業界の日本代表として世界にチャレンジして参ります。青い炎と熱い気持ちを持った両者が手を取り、世界中を期待や喜び、そしてワクワクで満たしたいと考えております。

▽JFA 田嶋幸三会長のあいさつ要旨
かねてより話し合いを進めて参りました全日本空輸株式会社様との新たな契約についてこのたび、基本合意に至りました。長引くコロナ禍、エネルギー価格や物価の高騰など、厳しい状況下でパートナーシップ契約に合意してくださったことを心から感謝申し上げます。本日からスタートする契約は現在のオフィシャルパートナー、オフィシャルサプライヤーに続くJFAメジャーパートナーという形態で、日本代表の事業に加え、普及、育成、指導者養成、審判養成、施設整備、グラスルーツでも協働していくものであります。またパートナーシップの核となるのは地方創生です。私たちには47都道府県協会という最も重要なパートナーがおります。そことの共創・共生、そして価値創造であると考えております。ANA様は世界各国を翼で結んでおり、国内はわれわれの47都道府県全てと結びつくものだと思っております。日本代表のブランド価値と、JFAの資源、47都道府県サッカー協会、国内外のサッカーファミリーというJFAが持つネットワークと、ANA様が持つ海外・国内の強みを融合させて新しい価値をもたらしながら、活力ある社会づくり、SDGsの達成、ウェルビーイングに資する環境づくりを推進していきたいと考えています。JFAは「夢があるから強くなる」「サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身な健全な発達と社会の発展に貢献する」と理念でうたっています。この活動を推進していきます。そしてANA様の経営理念である「安心と信頼を基礎に 世界をつなぐ心の翼で 夢にあふれる未来に貢献します」と相通ずるものがあります。ANA様とJFAが真のパートナーシップを発揮することで、日本サッカーの世界への飛躍と、日本スポーツ界の発展、人々の健康と幸福、活力ある社会の発展に貢献できるものと確信しています。私たちはJapan's Way、日本独自の強化スタイル、育成スタイルを作り上げてきました。そして昨年のカタールでその成果が少し垣間見えるようになり、世界に伍して戦えるようなチームになりつつあります。そして今年はニュージーランド、オーストラリアで女子W杯が開催されます。それに向けてもしっかりと強化し、世界で活躍できるチームにしていきたいと思っております。女子本大会まではあと5か月、2011年に世界チャンピオンになり、カタールで日本代表が活躍したそのバトンをしっかりと女子に渡し、なでしこジャパンが再び世界の頂点に立つことを私たちは全力でサポートします。ANA様は2030年に向けた新経営ビジョンを発表されております。「ワクワクで満たされる世界を」というスローガン、まさに私たちなでしこジャパンもワクワクで満たされる素晴らしいゲームで再び世界の頂点を目指したいと思います。新型コロナウイルスの水際対策も本格緩和され、これから再び海外との往来が活性化していくでしょう。JFAとしても日本代表、日本人選手たちが世界で活躍することを願っています。そしてサッカーを通じて国際交流や国際貢献を推進していこうと考えています。ANA様の翼に夢を乗せ、世界に羽ばたきたいと思います。

(取材・文 竹内達也)

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