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美藤倫がU-22日本代表“生き残り”へ…3月にはデンチャレMVP受賞、意識の変化は内定先・G大阪キャンプでの挫折

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MF美藤倫(関西学院大/G大阪内定)

 大学選抜MVPが初の年代別代表活動に臨んだ。MF美藤倫(関西学院大4年/G大阪内定)はU-22日本代表候補に選ばれ、「本当に今回意外でびっくりしました」と語る。「まずうれしいという気持ち。でも候補なので、しっかりとした代表に呼ばれるようにいいアピールのチャンスだと感じました」と“生き残り”にやる気を見せた。

 2024年パリオリンピックを目指すU-22日本代表は23日から4日間の候補合宿を開催。大岩剛監督は常連組を招集せず、28人中18人が初招集となった。

 美藤は初日から3日目までを過ごし「レベルの高い環境でやらせてもらっているので、本当に毎日刺激になっています」と振り返る。「最初は天然芝やスピード感に戸惑いもあったけど、慣れれば全然やれる部分もある。まだ技術が足りない部分もあると感じています」とここまでの自身の出来を語った。

 昨年度の全日本大学サッカー選手権(インカレ)での活躍が認められ、美藤は3月まで行われたデンソーカップチャレンジサッカー(デンソー)茨城大会に参加。関西選抜の主将としてチームを6年ぶりの優勝に導いた。さらに、個人では数多の大学選抜選手の中からMVPを受賞。全日本大学選抜にも名を連ねると、ここでもキャプテンを務め、大学日韓定期戦では全韓国大学選抜から勝利を手にした。

 デンチャレを「MVPは狙っていた部分ではあったので、それを取れたのは自信になりました」と語る。大会が行われたのは2月末から3月頭まで。臨むにあたり、意識が大きく変わった出来事が1月後半にあったという。

 美藤は昨年10月、大学3年次にガンバ大阪への24年加入が内定した。その後、昨年末のインカレでベスト4入りを果たすと、今年1月にはG大阪のキャンプに参加。だが「全然ダメで。ひさしぶりに挫折した経験だった」と大きな刺激を受けた。「一個のプレーの質やポジショニングの数m、数cmのこだわりはプロだなと感じた。監督の要求も高く、それに応えられる機会があんまりなかった。そういうところが本当に通用しなかったなとは思います」。しかし、それが美藤の意識を変えるきっかけとなった。

 挫折を経て、デンチャレに臨む意識の変化は「やっぱり大きかった」。その奮起がデンチャレMVPに、そして今回のU-22日本代表候補選出につながった。「あの挫折が大きかった。勘違いしていた部分が多少なりともあった。それがこの大学ラストシーズンが始まる前に気づけてよかった」。プロの舞台に上がるまで、ポジショニングや長所であるデュエルの成長を重点的に進めるつもりだという。

 パリ五輪を目指すメンバーの候補に過ぎない現状は、しっかり噛みしめている。「チャンスは本当にいつ回ってくるかわからない」。26日の候補合宿最終日には紅白戦が行われる。「本当に大きなチャンスだと思っている。圧倒するようなプレーで爪痕を残したいと思っています」と活躍を誓った。

(取材・文 石川祐介)

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