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「もっとやらなきゃいけない」一年ぶりの代表招集…GK野澤大志ブランドンはパリ世代守護神の精神でさらなる研鑽へ

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GK野澤大志ブランドン(FC東京)

 実りのある招集となったようだ。U-22日本代表候補合宿は26日に紅白戦を行って終了。大岩剛監督体制に約一年ぶりの招集となったGK野澤大志ブランドン(FC東京)は「本当に刺激をたくさんもらいました」と振り返った。

 今回の合宿は大岩監督体制の常連は少なく、初招集は28人中18人。Jリーガー12人、大学生16人が選ばれ、新戦力の発掘や選手層の底上げが図られた。大岩監督は「コンセプトを理解すること」「得意なプレーを100%やること」「招集時にコンセプトを戻せるように意識し続けること」といった合宿テーマを伝えたという。

 4日間の合宿最終日には15分3本の紅白戦を実施。招集されたGK4人は交代でゴールを守る。野澤は1本目15分をプレーし、2本目の途中で交代した。

 紅白戦も含め、野澤が合宿中に取り組んだのは“シームレス”。「攻撃と守備ではなくて、切り替えの時間をいかに無くすか。攻守において本当にすばやいテンポでやっていけるかをすごく意識した」。その取り組みはFC東京に帰っても継続させる。「自チームに帰ってもやれること。帰ってもやっていきたい」と今後に目を向けた。

 今季からFC東京に復帰した。21年途中から22年はいわてグルージャ盛岡で武者修行して経験を積む。復帰したFC東京ではルヴァン杯で全試合出場。リーグ戦での出場を目指し、アピールを続ける。

 パリ五輪を目指す大岩監督体制では、昨年6月のU23アジア杯前に行われたトレーニングキャンプ以来となる一年ぶりの招集となる。「招集されたことは正直うれしい」と丁寧に気持ちを伝えつつ「もっとやらなきゃいけないというのを一番感じた」といまの心境を明かす。

「前回(3月の欧州遠征)だとドイツ、ベルギーとやっていました。先には予選、その先にはオリンピックがあって、そこを見ている。それを考えたときにじゃあこのままでいいのかと思うと、そんなはずはない」

 2019年U-17W杯メンバーでもあり、年代別代表の常連と経験は豊富だ。野澤は今回の招集には一喜一憂してはいない。FC東京の同期はDF木村誠二がU-22日本代表の常連に、DFバングーナガンデ佳史扶はA代表にも選出された。それぞれの活躍に喜びを示しながら「常に自分のゴール、目標は明確にさせていきたいと思っている。そういう意味では周りがどう変わったからって、自分に何か変化というのは感じていない」とあくまで自分にベクトルを向ける。

 憧れを強くしすぎないように、淡々とその舞台を目指す。「傲慢になるつもりはないですけど、自分がパリ世代のゴールマウスに立ってもできるくらいの、そういうメンタリティを持ちたい」。リスペクトが強ければ強いほど、到達したときにメンタルは脆くなる。「常に自分が出ても、同じかそれ以上かできる自信はあると思いながら目指している。そういう意味で、憧れすぎないということを自分の中で整理しています」と心の持ちようを説いた。

 大岩監督は合宿最後のミーティングで、今回招集されたメンバーたちに“日常”から意識を変えることを求めた。野澤も「改めて火が付くようなミーティングでした」としっかり刺激を受けたようだ。「ちょっと悔しいのは、それを忘れかけていたこと。それを思い続けることは簡単なことでもない。やっていきたいですね」。再びクラブでの“日常”へ。心身を整えつつ、次の出番まで準備を続けるつもりだ。

(取材・文 石川祐介)

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