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[MOM4422]U-17日本代表DF森壮一朗(名古屋U-18)_目指すはハキミか菅原由勢か。U-17日本代表SBが示すハイポテンシャル

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U-17日本代表右SB森壮一朗(名古屋U-18)は先制点をアシスト

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[9.16 国際ユースin新潟第2節 U-17日本代表 2-0 U-17ニュージーランド代表 新潟市陸上競技場]

 立ち上がりから前へ前へ、また前へ。持ち前の走力を活かしてU-17日本代表の右サイドを攻撃的に押し上げ続けたのが、右SB森壮一朗(名古屋U-18)だった。

 16日に行われた国際ユースin新潟の第2節。U-17ニュージーランドと対峙した日本は、序盤から高い位置でのボール奪取も連発し、敵陣で試合を進めることに成功。相手を押し込み続ける展開に持ち込んだ。こうなると生きてくるのは、両SBの攻撃力だ。左の佐藤、そして右の森が次々とチャンスに絡む展開となった。

「ベネズエラとの第1戦、SBが後ろに下がるスプリントは十何本も記録されているのに、前へ行くスプリントは左が0回で、右は4回。誰かに入ったときに追い越していくようなスプリントを見せる形をまるで作れていませんでした。これはどうなんだというところですよね」(廣山望監督)

 26分、そんな森の攻め上がりが得点を生み出す。「最初の欲しいタイミングでボールをもらい損なった」と攻め残る形になっている中でFW前田勘太朗(横浜FCユース)が高い位置でのボール奪取に成功。そこからのシュートは相手GKに防がれたが、「こぼれ球を(川合)徳孟が拾って自分に出してくれた。(前田)勘太朗がフリーでいるのは見えていて、ワンタッチで流せばいけると思った」と言う森が冷静なラストパス。これを前田がしっかり決めて、待望の先制点が生まれた

 その後も森は意欲的な攻撃参加を披露。ただ、「最後クロスまでいったり、フィニッシュまでいけるシーンはあったんですけど、そこの質は課題として出たと思う。もっと結果を残せるSBにならないといけない」と本人が反省したように、ゴールを導くには至らなかった。

 一方、守備に関しても冷静な対応を見せた。「ニュージーランドが3-4-3の形だったので、右の加治佐と連係して自分が(相手の)ウイングバックにいけるタイミングを狙ってできたし、相手のウイングへの縦パスもうまく狙えていたと思う」と振り返るとおり、戦術的なミスが起きやすい噛み合わせの中でも無難な対応を見せた。

 ただ、廣山監督は「森は今日アシストの仕事をしてくれましたし、十分にチームを助ける仕事をしてくれました。ただ、持っている能力を考えれば、後半ももっとやってほしい」と期待しているからこその評価を下す。

「もっと良いポジションを取って、もっと良いコミュニケーションを取って、判断できる選手になってほしいし、なれると思っている。A代表のDF菅原由勢選手は本当に良いお手本になると思う」と、名古屋の大先輩の名前を出して、具体的な未来図も示した。実際に菅原の映像を見せる機会もあるのだと言う。

「森はいまが一番伸びる時期だと思う。本人がこの機会をどれほど重要な機会だと思って本気で取り組んでくれるか。今日は良いプレーを見せてくれたので、じゃあ明後日はどうか。彼に限らず、こういう機会でどこまでどん欲になれるかで成長度合いは変わってくる」(廣山監督)

 SBとしては長身で、身体的に優れた資質を持つ。そんな彼だからこそ、頭を使うプレーとハートの部分でのさらなる進化を期待しているわけだ。

 6月のAFC U17アジアカップでは、「同じ年の山口豪太(昌平高)とか黒木雄也(鳥栖U-18)が入っていたので悔しかった」と言う森は、「選ばれたかったら、まず所属チームでスタメンを獲りきらないとダメ。絶対にスタメンを奪い取らないといけない」とあらためて決意したと言う。その上で、代表でも結果を出してアピールする。U-17ワールドカップのメンバーへ滑り込むため、もう一段のスケールアップを誓う。

 そんな森が動画を観るなどして刺激を受けている右SBの一つの理想像はモロッコ代表DFアクラフ・ハキミ(パリ・サンジェルマン)だと言う。

「パワフルでダイナミック。ゴール前までいけて、対人ではスピードを活かして止められる」(森)。そのスタイルは、まさに自分が思い描くSBの理想像の一つというわけだ。

 まだまだ未完成ながら、抜群の潜在能力を持つ右SB。もう一皮むけるための一歩を踏み出せるか。第3戦でのパフォーマンスにあらためて注目しておきたい。

(取材・文 川端暁彦)
●U-17ワールドカップ2023特集ページ
川端暁彦
Text by 川端暁彦

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