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緊急出場も堂々の振る舞い、最前線にも飛び出した守田英正「外から見ていてどうすればいいのかはわかっていた」

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日本代表MF守田英正(スポルティング)

[1.31 アジア杯決勝T1回戦 日本 3-1 バーレーン アルトゥママ]

 アクシデントによる緊急出場だったが、チームにさすがの落ち着きをもたらした。日本代表MF守田英正(スポルティング)はMF旗手怜央の負傷交代を受け、前半36分から途中出場。「外から見ていてどうすればいいのかはわかっていたのでうまく入れた」。冷静なゲームコントロールで勝利に導いた。

 立ち上がりから球際で激しく寄せてくるバーレーンに対し、序盤はなかなか勢いを出せなかった日本。ベンチで戦況を見つめていた守田は、ビルドアップを担う最終ラインの判断に課題を感じていたという。

「前半に僕が出ていない時は、僕的にはCBの片方がフリーなのでもっと自分でボールを持って(陣形を)縮めてほしかった。イラク戦もそうだったけど、CBがフリーの時に少し探しがちになって、自分から食い付かせる動きがなかった。前半はトミ(DF冨安健洋)にそう言っていた。それによって(旗手)怜央が前にいられるはずなのに、ちょっと怖くなって引いたり、やる必要のないローリングで(中山)雄太が上がったりもあったので、怜央には前に行ってていいと伝えた」

 同じポジションの旗手の活かし方も見据え、声をかけていたという守田だが、旗手が右ふくらはぎを痛めたことで前半36分に緊急出場。「自分が入った時はそこはトミのせいと僕は思っていたので(笑)」と自身はできるだけ下りずに構え、冨安のゲームコントロールに託すことで、ボールに触れずとも陣形を整えるよう取り組んでいたという。

 バーレーン戦に向けた取材対応では「本当は攻撃的なところ(ポジション)を取りたい。4バックだったら取れると思う」と述べていたが、後半にはその展望どおりのプレーも見せた。際立ったのは後半17分、FW上田綺世が右サイドでスルーパスに抜け出し、守田がエリア内まで入ってつなぎ、FW中村敬斗のシュートをお膳立てした場面だ。結果的には上田のオフサイドでゴールは認められなかったが、最前線まで出ていく局面を作った。

「もともと高い位置を取っていれば、ああやって背中を取った時の受け手になれる。今日は俺が良かったというかは、周りが良かったから自分が立ち位置を確保できた。周りが悪かったら自分も下がるしかないので、その恩恵を受けたという感じ」。そう控えめに振り返った守田だったが、前半に守田が打っていた布石が実ったとも言えるチャンスシーンだった。

 一方、課題を見つめることも忘れなかった。最終ラインの配球力に委ねることで、中盤の選手が高い位置で関わるビルドアップには「僕にとっては本当に楽。やらなくていいことをやらされる時もあるので」と前向きに振り返りつつも、「奥行きに入りすぎてパスコースが完全に消えてしまって、もったいないシーンもあったので、そこは微調整する必要があった」と反省点を口にした。

 また「ゼロで終われる試合だった」と試合全体の課題にも目を向けた。「(失点で相手が)ちょっと勢いがつきかけて、また離せたけど、最後に1点決めて3点差にできなかった部分もあった。いい試合ではあったけど、スキは少なからずあった試合展開だったかなと思う」。ここから一発勝負の連戦が続く中、試合中に展開を見渡せる守田の役割はさらに大きくなっていきそうだ。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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