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横浜FMの王座奪還に立ちはだかる“最終課題”…ノーゴールでの今季初連敗にDF岩田智輝「まだまだ伸び代はある」

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ノーゴールでの連敗となった横浜F・マリノス

[10.12 J1第27節延期分 横浜FM 0-1 磐田 日産ス]

 独走状態で優勝まで秒読みと思われた横浜F・マリノスだったが、降格圏の相手にまさかの連敗を喫し、2位の川崎フロンターレの追走を許す形となった。両者の勝ち点差はわずか『2』。天皇杯決勝とルヴァン杯決勝のため次節までは約半月のブランクがある中、3年ぶりの王座奪還に向けて、どれほど細部を修正できるかが問われそうだ。

 9日のG大阪戦(●0-2)、12日の磐田戦(●0-1)にいずれも敗れ、優勝争いの佳境になって今季初の連敗を喫した横浜FM。どちらの試合も割り切って守る相手の守備ブロックを崩せず、ノーゴールに終わった点では共通しているが、守備面では異なる課題が浮かび上がった。

 G大阪戦では前半の立ち上がりと終盤にセットプレーから2失点を喫した。AFCチャンピオンズリーグを終えてリーグ再開を迎えた9月上旬以降、相手に与えた5失点はいずれもセットプレー絡み。これはシーズン序盤からの課題でもあった。

 原因として挙げられるのは攻撃的なチームスタイルに伴い、フィールドプレーヤーに長身選手が少ないこと。だが、編成はいまさら変えられるものではなく、現状の戦力で失点を避けるしかない。G大阪戦の終了後、CBの出場が続くDF岩田智輝は「セットプレーになった時は一人一人が危ないところを消すのが大事だし、セットプレーにさせないのが大事」と述べ、改善に意識を向けていた。

 実際、磐田戦の前半では宣言どおりにセットプレーをほとんど与えない試合展開に持ち込み、やや盛り返された後半もCKを左右それぞれ1本ずつ与えはしたものの、MF遠藤保仁の精度の高いキックに対して安定感ある対応を継続した。すなわち、前節の課題が顔を出すことはなかったと言える。

 ところが、今度は0-0で迎えた終盤にカウンターから失点し、直近7試合なかった流れの中から相手に得点を与える形となった。岩田は失点シーンについて「ボールが入った時点で止めに行くか迷ってしまって、後ろに下がってしまったことで失点してしまった。その後の対応も、もっとボールに寄せてプレッシャーをかけていれば……」と自身の責任と向き合っていた。

 もっとも、いかに守るかだけではなく、いかに試合を支配するか(その結果、相手にいかに攻めさせないか)にフォーカスするのが横浜FMのスタイル。2019年に15年ぶりのリーグ制覇を達成し、現在の強さを支えるフィロソフィーでもあり、岩田も「時にはマリノスのサッカーじゃないところを目指してしまうが、最後まで貫いたほうがいい」と強調する。

 するとやはり、リーグ制覇に向けて解決すべき最後の課題はノーゴールに終わった攻撃面になりそうだ。何より磐田戦で失点につながったのも、MFマルコス・ジュニオールの拙速な縦パスを相手に楽な形で奪われたことによるもの。きちんと相手を敵陣に押し込み、脅威を与えながら崩し切る試みを続ければ、守備の安定感も戻ってくるだろう。

 岩田は磐田戦について「この2試合負けてしまったのは実力。いろいろなプレッシャーがある中でも、自分たちのサッカーができていないし、点が取れていないのは悔しい。それが現実なので受け止めないといけない」と真摯に指摘。その一方で「もっと完成度を高くすればもっとチャンスは多く作れると思っている。まだまだ伸び代はある」と力強い言葉も口にした。

 岩田によるとこの2試合から学ぶべき教訓の一つは、先制点を奪いに行く迫力が足りなかったこと。岩田は「先制点はすごく大事だし、前半が始まって後半の入り、プレーが切れた時の入りはすごく大事な部分で、圧倒するプレーができなかったこと、畳み掛ける攻撃でできなかったことは反省する部分」と課題に向き合う。

 またもう一つはなかなかゴールが奪えない時に、焦りによって精度を下げるのではなく、共通認識を持つことだ。「焦りはあったし、どうにかしてこじ開けないとという中で、強引さも足りなかった。引かれた相手に対してどうするべきか、もう一度全員が見つめ直すべきだし、どうすれば点を取れるかは中で合わせていくしかない」。29日の浦和戦でその成果を発揮できるか。岩田は「切り替えてやるしかない」と力を込めた。

(取材・文 竹内達也)
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