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劇的弾につなげた大仕事…大宮GK笠原昂史が磐田相手にスーパーセーブ連発「続けていくことが大事」

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大宮アルディージャGK笠原昂史(写真右)

[3.11 J2第4節 大宮 1-0 磐田 NACK]

 後半アディショナルタイムに劇的な決勝ゴールを挙げた大宮アルディージャだったが、そのドラマの陰には守護神の奮闘が欠かせなかった。昨季J1在籍のジュビロ磐田に劣勢を強いられた中、GK笠原昂史が鬼気迫るビッグセーブを連発。無失点を死守する圧巻のパフォーマンスがあったからこそ、この勝ち点3がもたらされていた。

 あらゆるシュートに立ちはだかった。まずは前半15分、名手MF遠藤保仁の左CKがニアサイドに送り込まれると、混戦で軌道が変わったボールをファーサイドのMFドゥドゥが右足でシュート。これに笠原は左手一本で応戦し、見事に弾き切った。

「常に練習からいい準備をして、いいアクションを起こすことを心がけている。あまり頭で考えすぎず、本能的にボールに食らいつくところが出た」。大宮サポーター目前でのスーパーセーブにスタジアムの士気は一気に上昇。それまでは磐田の決定機が続いていたが、このプレーで流れが切られ、五分五分の展開に移っていった。

 前半30分にも磐田が久々のチャンスを作り、FW杉本健勇とのコンビネーションで抜け出したFW金子翔太がエリア内を打開。しかし、ここでも笠原が1対1のシチュエーションを阻止した。その後は安定したハイボール処理でも磐田のチャンスの芽を摘み取り続け、0-0のまま時間を進めていった。

 ゴール前の空中戦は昨季、V・ファーレン長崎に期限付き移籍していた経験も大いに活きているという。J2リーグ戦出場はわずか8試合にとどまり、悔しいシーズンで終わっていたが、「新しい環境で新しいコーチと出会ってプレーをしていく中で、積極的にクロスに出て行く役割を求められていた。1年間なかなか試合に出られなかったけどトレーニングを通じて積み上げてきたものがより発揮できている」と得るものがあったようだ。

 また試合終盤の後半37分には再びスタジアムを沸かせるビッグセーブで魅せた。遠藤の右CKがゴール前に送り込まれ、DFリカルド・グラッサのヘディングシュートが枠内を襲ったが、今度は右手一本でストップ。このビッグセーブでさらに勢いづいた大宮は同45+2分に相手の一発退場で数的優位となり、同45+4分の決勝ゴールで勝ち切る形となった。

 劇的なゴールを最も遠くから見ていた笠原は試合後、勝利の光景を嬉しそうに振り返った。「こんなにスタジアムが盛り上がる瞬間はなかなか作り出せるものではないし、みんなが最後まで走って走ってゴールまで繋げてくれた。ああいう瞬間をスタジアムの全員で共有できるのは日常にはなかなかないこと」。さらに「これをどんどん続けていきたい」と継続も誓った。

 一方、自身のパフォーマンスについては冷静だった。

「試合の流れを変える、試合を決められるポジションだと思うので、今日に関してはいいパフォーマンスだったとは思うけど、今日良かったから次が約束されているわけではない」。ワンプレーが評価を大きく変えるGKという役割。「ミスで失点する場面も出てくると思うので、そういう状況になったとしてもブレずにトレーニングから続けていくことが大事」とすでに先を見据えていた。

 そうした姿勢は普段のトレーニングから貫いているものだという。「常に一喜一憂せずに、いいプレーをしたとしても次に何があるかわからないという気持ちでやっているし、4人のキーパーグループで切磋琢磨していいトレーニングができている。こういう状態を切れずにやっていくことが大事だと思う」。1試合のパフォーマンスで満足することなく、継続あるのみだ。

(取材・文 竹内達也)
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