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途中出場でJ1デビューも歴史的大敗…決意新たに鹿島19歳DF溝口修平「チームが苦しい時に勝たせられる選手に」

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鹿島アントラーズDF溝口修平

[4.15 J1第8節 鹿島 1-5 神戸 カシマ]

 1-3で迎えた後半25分、鹿島アントラーズの19歳DF溝口修平が左ウイングバックで投入され、J1デビューを果たした。約15分前に3-4-3にシステム変更し、1点を返していた中、求められたのはさらに反撃の迫力を高めること。それでも投入から2分後、追加失点を喫して勢いが削がれると、後半40分にも5失点目を献上し、1995年9月2日のヴェルディ川崎戦以来28年ぶりのカシマスタジアムでの5失点敗戦に終わった。

 試合後、ミックスゾーンに姿を見せた溝口は「苦しい状況で中に入って求められていたことができなかった」と厳しい表情。「3バックに変えてWBでサイドに張って、相手(のマーカー)がサイドハーフなのかSBなのかで迷うようなポジションでチャンスメイクするのが自分を投入した意図だったと思うけど、なかなか出せなかった」と悔やんだ。

 もっとも、4失点目から試合終盤までは溝口に限らず、チーム全体が攻め手を共有できていなかった。ロングボールを蹴ってはこぼれ球を拾われ、短いパスで打開しようにも人数が足りないという状況。昨季鹿島ユースからトップチームに昇格して以降、ルヴァン杯と天皇杯で合計5試合しか経験していない19歳にとって、難しい舵取りであったのは想像に難くない。

 それでも溝口は「受けられないと思ってから低く下がったりしたけど、それでもうまくいかなかった。チームとしてどこで流れを持っていって、意図を合わせるところが全くなかった。逆サイドで入れられる時に中に2枚しかいなかったり、こっちからボールを持って前を見ても枚数が少なかったり、あの形になってどうチームで合わせるかわかっていなかった」と葛藤をのぞかせながらも、最後は「ピッチの中で自分が変えることもできなかった」と責任を自らに向けていた。

 アカデミー卒の若手にとって念願であったJ1デビューにも「デビューというのは関係ないと思っていたし、チームの一員として勝利に流れを変えていけなかったのが全て」と厳しい姿勢を貫いた溝口。「ルヴァン杯で少しずつ出場機会を得てきた中でも、Jリーグは観客の数も雰囲気も流れも違う。途中出場からはこれまでもなかったけど、次のルヴァンでもチャンスがあると思うし、スタートだけでなく途中からもあると思うので、心構えやイメージは今回の試合を無駄にせず、次につなげたい」とも述べ、とにかくこの経験を今後に活かしていく構えだ。

「サイドバックとして失点に絡んだらいけないし、そこが第一にある中、左利きの特徴を活かして得点に絡んでいくところであったり、自分にしかできない中に入っていったりとか、組み立ての部分でも違いを出して、チームが苦しい時に勝たせられる選手になりたい」。チームが4連敗と苦境に陥っている中で大きな一歩を踏み出した19歳。その決意が実現される日が来るのであれば、この屈辱的な大敗にも意味を見出すことができるはずだ。

(取材・文 竹内達也)
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