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「2019年は悔しい思いをこらえながらバスを見送った」浦和DF荻原拓也が、ACL決勝に向けて同点弾アシストで弾み

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DF荻原拓也(浦和)

[4.23 J1第9節 川崎F 1-1 浦和 等々力]

 1点を追う後半36分だった。浦和ユースの後輩でもある2種登録のMF早川隼平が持ち上がったボールを受け、DF荻原拓也(浦和)は混戦の中からゴール前へパスを出した。これをFWブライアン・リンセンが決めて1-1。

「ごちゃごちゃになったところでジュンペイが僕に出してくれた。パスは一瞬の判断だったが、ブライアンに正確にゴールに届けてほしかったので優しいパスを出した」

 1週間後にアウェイのサウジアラビアでのACL決勝アルヒラル戦を控える中、浦和はベストメンバーで川崎F戦に臨み、荻原は左サイドバックで先発していた。

「ああいう時間帯で諦めずに、しっかり追いついたので良かった。今季リーグ戦の初アシストをつけてくれたのでブライアンに感謝」と、追いついての勝ち点1奪取に表情をほころばせた。

 試合が始まる数時間前の昼頃。荻原は4年前のことを思い出していた。

 2019年11月5日、埼玉スタジアムでの第32節川崎F戦。浦和は試合終了後すぐにACL決勝アルヒラル戦のためサウジアラビアに向かうというスケジュールだった。

 試合が終わり、選手を乗せたバスが埼スタを出発。するとその時、バスに向かって精一杯両手を振っていたのが荻原だった。後日、荻原はその時の心境をこう説明していた。

「あの試合はACL決勝に向けて先発をガラッと入れ替えて試合に挑んでいたのに、自分はスタメンに入れず、ベンチにいたのに負けている状態で試合に出られず、そのまま試合を(0-2で)終えた。試合後はピッチでランニングをしたのだけど、サウジアラビア遠征に帯同しないのに走っている悔しさで、最初は良くない態度を取ってしまった。でも、それではダメだと切り替えて、バスに手を振って応援する気持ちを伝えた」

 それから4年。今はチーム内における立場も実力も以前とは違う。試合後の等々力陸上競技場のアウェイ側ゴール裏に、サウジアラビアへ向かう選手たちを鼓舞する大旗が掲出されるのを見た荻原はこう言った。

「グッと来るものはあった。期待してくれる方々の期待をしっかり背負って闘うつもりです」。思いを噛みしめるように、取材エリアを後にした。

(取材・文 矢内由美子)
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