[5.14 J1第13節 浦和 3-1 G大阪 埼玉]

　今季リーグ戦11試合目にして初のベンチスタートだった浦和レッズMF大久保智明が、途中出場で大仕事をやってのけた。

　1-1の後半開始からピッチに立ち、6分、右CKの二次攻撃からMF関根貴大がつなぎ、DFアレクサンダー・ショルツからのパスをゴール前で受けると、相手DFを背中にまわしながら左足で流し込んだ。シュートを打つ瞬間は相手DFがもう1人加わって2人に挟まれていたが、関係なかった。

「ショルツがフリックした時点で自分に来ると思った。今まではシュートを打つ前にゴールを見過ぎたり、チャンスと思いすぎて判断やプレーが遅れているところがあったりしたけど、きょうはよくチャレンジできたと思う」(大久保)。今季初ゴールは貴重な勝ち越し点となり、満足感を漂わせた。

　危機感が生んだゴールだった。浦和は5月6日に史上最多3度目のACL制覇を果たしたが、その3日後のJ1リーグ鳥栖戦で敗戦(●0-2)。大久保自身、決定的な場面で得点を生み出せず、「監督がいつ先発を外しても文句を言えない」と険しい表情を見せていた。優勝したため目立たなかったが、アルヒラルとのACL決勝戦でも好機にゴールを決められていなかった。

「今の浦和で2列目は『補強しろ』などいろいろなことを言われているポジション。僕はエゴサ(エゴサーチ:自身を検索すること)をするのでそれは分かっていたし、鳥栖戦の後は『やっぱりダメか』と言われていた。スタメンで2列目でアタッカーなので、点を取れていないのは自分でも意識していた」

　危機感がマックスになっていたところで決めた待望の今季初ゴールは、連敗を阻止する価値ある得点でもあった。鳥栖に敗れて連続負けなしが13試合でストップした後の試合だけに、連敗だけはどうしても避けたいという思いもあった。

「見返すことができたかなと思うし、きょうはチームの真価が見えたのかなと思う。メンバーがかわっても勝てるところを見せられて、いいスタートが切れた」

　ホームでG大阪に勝ったのは実に7年ぶりだが、大久保は「監督には“12ゴール決めてくれ”と言われていますので、まだまだ足りない」と兜の緒を締める。浦和がアジアとJリーグの史上初2冠へ向けて再スタートを切った。

(取材・文　矢内由美子)

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