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大観衆の国立、スーパーセーブで魅せた千葉GK鈴木椋大「勝てれば一番よかった」

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GK鈴木椋大

[7.16 J2第26節 清水 2-2 千葉 国立]

 国立競技場にJ2史上最多の47628人を集めた清水エスパルスジェフユナイテッド千葉の激闘は、両者とも点を取り合う2-2のドローに終わった。それでも千葉のGK鈴木椋大のスーパーセーブがなければ、清水に勝ち点3がこぼれていてもおかしくない展開だった。

 まずは1-1で迎えた前半31分、ここまで3試合連発中だった元日本代表MF乾貴士に中盤を切り裂かれ、ドリブルシュートを許したが、これを鈴木が冷静に阻止。「フィールドの選手がサイドにサイドに追い込んでくれたので自分としては止めやすかった。でもあそこで一つ波に乗れたかと思う」とピンチから救った。

 チームとしても「乾選手の位置だけは常に把握しておこうというのがチームとしてあった」というキーマン相手のファインセーブ。「声が通りづらい部分もあったけど、自分が一番よく見えているので、CBとボランチとSBとうまくコミュニケーションを取りながらできた」と国立の雰囲気への順応も試されたなか、チームを落ち着かせるワンプレーだった。

 さらに後半は一方的に攻め込まれるなか、10分に自陣ビルドアップのミスで招いたFWオ・セフンの決定機に立ちはだかると、17分にはオ・セフンのクロスに飛び込んできたMF岸本武流のダイレクトシュートを奇跡的な反応でかき出した。

「あれは自分自身は止めたという感覚より、当たってくれた感覚のほうが大きい。ああいう場面は飛ぶしかないので、相手のシュートがいい感じに当たってくれた。止めたという感じより、当たってくれた感覚のほうが大きい」。鈴木自身はそう謙遜したが、一瞬の反応で大ピンチから救った。

 後半21分にはほぼノーチャンスの形で同点ゴールを許したが、最終盤にもMFベンジャミン・コロリとの1対1でスーパーセーブ。「裏に抜け出された瞬間は1対1で我慢して、飛んでくるシュートに対してプレーしようと思っていた。ディフェンダーのプレッシャーも相手からするとあるので、優位に立てていると思っていたし、その中で落ち着いてセーブできたと思う」。最後の最後まで集中力を保ち、難敵相手の勝ち点1獲得に大きく貢献した。

 試合後には「勝ててないので自分がどれだけ止めようが、引き分けには持ってこられたかもしれないけど、結果としては勝ち点3を求めてきたので、止められた部分も多くあったけど、勝てなかったのが一番」と悔しさもあらわにした鈴木。とはいえこれが今季4試合目の先発出場、大きなアピールになったのは間違いない。

「自分自身なかなか出られないシーズンを過ごしてきた中で、こういうゲームで一つどれだけできるかは自分の中でもすごくいい経験になった。この国立という舞台でサッカーができて、あれだけたくさんのサポーターの前で、勝てれば一番よかったけど、自分としてのプレーはできたかなと思う」と手応えも口にした。

 もっとも、チームを浮上させるために任されたゴールマウス。結果に向き合う姿勢も忘れない。「まだまだこれからシーズンは続くので。自分たちの立ち位置的に勝ち点1でOKだねというのは絶対にダメだし、絶対に勝ち点3を取っていかないといけないゲームが続く。一つ一つ貢献できればと思う」。第26節を終えて現在15位。まずは勝ち点10差のプレーオフ圏内に向け、GKの立場から勝利にこだわっていくつもりだ。

(取材・文 竹内達也)
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