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横浜FM松原健がマンC相手にオーバーラップ弾「一生であるかないか」実った“伏線アクション”

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アシストしたDF永戸勝也と抱き合うDF松原健

[7.23 Jリーグワールドチャレンジ 横浜FM 3-5 マンチェスター・C 国立]

 欧州王者を追い詰めた横浜F・マリノスの追加点は、左サイドバックから右サイドバックへの展開という“らしい”形で生まれた。オーバーラップから貴重なゴールを決めたDF松原健は「本当にウチらしい形だなと思う」と手応えを口にした。

 1-0で迎えた前半37分だった。左サイドでの相手のトラップミスをFWアンデルソン・ロペスが見逃さず、左サイドに展開すると、これを受けた左SBのDF永戸勝也がドリブルで前方へ。その時点で松原はすでに前へと走り出し、マークにつかれていたはずのFWジャック・グリーリッシュを振り切ろうとしていた。

「左サイドにボールが入った時、もちろんみんな目線が向こうに向くじゃないですか。そこで大外から走っていけば何か起こるかなと。カツがいいふうにボールを持った時、絶対に来ると思った」。

 そのイメージどおりにグラウンダーのクロスを呼び込むと、冷静にGKを見ながら右足一閃。「シュートを打ってくださいという丁寧なパスが来たので、ダイレクトで怖がらずに強気に打ちにいった」。コントロールされたシュートを左に突き出した。

 欧州王者のマンチェスター・Cから奪った値千金のゴール。「抑えながらふかさないようにというイメージで蹴った」という松原は「嬉しい。相手がプレシーズンで一発目の試合だったというのももちろんあるけど、それを差し引いても世界王者から点を取れるのは一生であるかないかなので結果を残せて良かった」と素直に喜びを語った。

 シュートについては「あんなに綺麗にインサイドで決められるイメージはなかった」と振り返りつつ、「ラッキーゴール」とも冗談めかした松原。それでもこのゴール前への果敢なフリーランニングは、確固たる横浜FMのスタイルと、それを理解する松原自身のプレービジョンが綺麗に融合したシーンだったといえる。

 その伏線となっていたのは、前半途中に自ら仕掛けたアクションだった。「あの前のシーンで1回かな、ロペスが引いたところで裏を狙ったところがあった」。横浜FMはボールを持てども前進できない時間帯もあったが、そこで松原はあえて分かりやすい動きで中盤に走り出し、さらに前線の最終ライン裏まで駆け抜ける動きをあえて行っていた。

「回しの中で停滞していたし、みんなが同じポジションにいると相手も守りやすくなるし、目線を変えたいというところで斜めに走っていた」

 ボランチの位置でビルドアップに関わることは珍しくない松原だが、この日はさらに前線へのスプリントを敢行。イメージしていたのは普段は右ウイングが担っているような役割だった。

「うちの戦術として2トップがちょっと降り気味になるシーンがあって、降りたところのスペースを両ウイングが使う形が多いけど、そこで両ウイングがワイドに張っているのであれば、SBが斜めに走ることによって、次に誰がつくのかを一度確認ができる。その中で取ったポジションだった」

 そのアクションで相手のマークのつき方を確認し、計算ずくで欧州王者に風穴を開けた松原。世界に通用したプレーを公式戦にもつなげるべく、「こういった形をもっともっと増やせるようにリーグ、ルヴァン、ACLとできたらいいなと思います」と再現も誓った。

(取材・文 竹内達也)
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