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J1初優勝へのカウントダウンも神戸に油断なし「数字は気にしていない」「まだ何も成し遂げていない」

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試合後にはMF日高光揮が歓喜の舞

[9.29 J1第29節 横浜FM 0-2 神戸 日産ス]

 敵地で2位の横浜F・マリノスを2-0で下し、悲願のJ1リーグ初優勝に大きく前進した首位のヴィッセル神戸。5試合を残した現時点で両者の勝ち点差は4に広がっており、歓喜へのカウントダウンは始まりつつあるものの、試合後の喜びは束の間、ミックスゾーンに姿を見せた選手たちの口ぶりは至って冷静だった。

 DF酒井高徳は現在の横浜FMとの勝ち点差について「数字はあまり気にしていない」ときっぱり。「勝ったのはすごく大事」としながらも「まだ5試合ある中で全てが起こりうる状況なのは変わらない」と気を引き締めていた。

 照準を合わせるのは相手の結果ではなく、目の前の1試合。「残り何試合だろうが、10試合前だろうが、20試合前だろうが、一個一個勝っていくということを常に口にしてやっていた。そのハードワークが今日も出た。それを残り5試合しっかりやり続けることが、自分たちの良い結果が出る確率を上げる最良の策だなと思うので続けてやりたい」と力を込めた。

 さらにこの日、2ゴールに絡む大活躍を見せたFW武藤嘉紀も「まだまだ。何も成し遂げていないし、マリノスも優勝を何度も経験しているチームでここで諦めるチームでもないのはわかっている。僕らは一戦一戦全力でやり切って勝ち点を重ねていく。それだけ」と冷静。同じく今季20ゴールで得点ランキングトップに立つFW大迫勇也も「終わってみないとわからない」と油断を排した。

 もっともその一方、大迫はチームの雰囲気には手応えを感じているという。現状の勝ち点差には「相手どうこうというより、自分たちが何をすべきかに常にフォーカスして練習から取り組んでいる」と控えめに述べたエースは「そこは若い選手にも伝えているし、“相手どうこうじゃない”というのは最近になってみんなの口から出てきているので良いことかなと思う」と話した。

 一時は主力を担ってきたMF齊藤未月の負傷の影響が大きく、勝ち点を落とす試合が続いたが、前節のC大阪戦からようやく連勝を達成。チーム状態はここにきて再び上向いている。酒井は前節からのチームの変化について「ベースのところを発揮すれば結果がついてくるという自信はついている」とハードワークに立ち返った効果を指摘し、「出し惜しみせず、残り5試合しっかり戦っていきたい」と継続を誓った。

 また齊藤の穴を埋めるべく、C大阪戦での今季初先発から2試合連続のアンカー起用で勝利に貢献したMF扇原貴宏の存在も大きい。扇原は「一番辛いのは未月だし、未月の分まで頑張ろうというのは自分の中でより強い責任感がある」と仲間の思いも背負いつつ、2019年に横浜FMで主力として成し遂げたリーグ優勝の経験も活かしていくつもりだ。

 扇原によると、今季の神戸は優勝が近づいてきた現在だけでなく、開幕当初から頂点を狙うチームの機運があったという。「僕は今季の最初からそういう空気を感じていた。自分は試合に絡めていなかったけど、そういう空気がずっとチームにはある」。ピッチでの存在感も求められる残り5試合。扇原は「あとはそれを自分たちで掴み取って実現させるだけ」と力強く語った。

(取材・文 竹内達也)
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Text by 竹内達也

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