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前節でJ3降格圏確定…金沢・柳下監督が働きかけた“原点回帰”「楽しいから、面白いから、好きだから」

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J3降格が近づくツエーゲン金沢

[10.29 J2第40節 町田 1-0 金沢 Gスタ]

 前節終了時点でJ3降格圏の21位以下が確定していたツエーゲン金沢は29日、J2第40節でFC町田ゼルビアに0-1で敗れた。前半3分に先制点を与えて以降は互角の戦いを演じていたが、最後まで同点のゴールは遠かった。

 柳下正明監督は試合後、前半3分に喫した失点シーンに敗因を見出した。「ずっと言っているマーキングの距離が遠いところ。多少イレギュラーだったけどそれでやられてしまう。そこはずっとシーズンを通してなかなか変わらないところ」。その後は徐々に盛り返しながら「自分たちのミスからピンチはあったけど、怖がらずボールを奪いに行っているし、相手のゴールを目指していた」と手応えはあっただけに、早々に失った先取点が悔やまれた。

 金沢は前節の山形戦に0-1で敗れたことで、20位との勝ち点差が「10」に拡大。3試合を残して降格圏の21位以下が確定していた。

 J2ライセンスを持たないFC大阪が今季のJ3リーグで2位以内に入った場合、J2・21位は残留できるレギュレーションのため、降格決定は留保されている。しかし、現時点でFC大阪は昇格圏と勝ち点差「8」の5位にとどまっており、J2順位でも残り2試合で21位の大宮と勝ち点差「6」。つまり、残留はほぼ絶望的な状況となっている。

 ただそうした状況だからこそ、柳下監督はこの一戦に向け、選手たちに前向きな働きかけを行っていたという。

「前節が終わってある程度決まっているということで、休み明けに自分たちがサッカーをなぜやっているのか、なぜやり始めたのか。楽しいから、面白いから、好きだから、嬉しいことがあったから、そういうことを思い出してサッカーをやろうと話した。勝っていない時、負け出してからは選手たちも相当苦しんで、辛い思いをして、悲しさもあるだろうけど、そういうのを忘れて、サッカーの楽しさ、サッカーをやり出した頃の気持ちを持ってやっていこうと話した」

 それを経てもなお「選手の顔を見ると、まだ責任を感じているのか暗い表情でやっている選手も見られる」という重い現状を受け止めつつ、「そういうものを自分が変えることができなかった。選手一人一人、チームの悪い流れを断ち切ることができなかった」と今季の成績に責任を背負った指揮官。しかし、首位のゴールに迫った後半の戦いぶりは心理的な“原点回帰”の一つの成果だろう。

 そうした思いはサポーターにも伝わったか、試合後には拍手で選手たちを迎え入れる人々の姿も数多く見られた。ゲームキャプテンのMF藤村慶太は「サポーターの皆さん前向きなプレーを期待していると思うし、うちは攻撃的なチームなので、取って速く攻撃する、縦に速く攻撃するところを残り2試合で見せたい」と決意を表明。指揮官も「残り2試合、最後まで諦めずに戦わせます」と奮起を誓った。

(取材・文 竹内達也)
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竹内達也
Text by 竹内達也

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