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アジア杯で爪痕残した毎熊晟矢、今季は守備でも要注目「僕のサイドからは一切やらせないように」

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セレッソ大阪DF毎熊晟矢

 確かな爪痕を残した半年間の日本代表活動を経て、セレッソ大阪のDF毎熊晟矢が再びJリーグの舞台で成長を見せていく構えだ。アジア杯参加でシーズンオフのないまま開幕を迎えるが、キャンプで個別調整を行ったことで「疲れがまだ残っているというのはない」と断言。24日の開幕節・FC東京戦に向けて「開幕に向けて良い状態でやれるんじゃないかなと思う」と力強く意気込んだ。

 年初のアジア杯に日本代表の一員として出場した毎熊は、グループリーグ第1戦ベトナム戦に途中出場した後、第2戦のイラク戦では出番なしに終わったものの、第3戦インドネシア戦で大会初先発。そこでアピールに成功した結果、決勝トーナメント1回戦バーレーン戦(○3-1)、準々決勝イラン戦(●1-2)でもフル出場し、日本代表の右SB一番手に名乗りを挙げた。

 なおも続くDF菅原由勢(AZ)とのレギュラー争いについては「たまたまこの大会で出られただけで、まだポジションを奪ったという感覚はない」と捉えているが、欧州組がずらりと並ぶ代表の中で国内組のスタメン定着は異例。MF久保建英(ソシエダ)、MF堂安律(フライブルク)を自在に操りながら自らも前に出ていく攻撃センスは際立っており、今後のW杯アジア予選でも活躍が期待されている。

 ところがそんな毎熊だが、アジア杯からは課題も持ち帰った。敗れたイラン戦では相手がサイドに人数をかけてきた場面で苦しい対応を迫られることが多く、終盤はロングボール攻勢に大苦戦。試合後には「力不足をすごく感じた」と心境を吐露した。19日に行われた開幕前のPRイベントでも開幕に向けた自身のキーポイントに「守備」を挙げていた。

 毎熊によると、この意思表示には2つの相反する意味が込められていたという。

「フリップを書くときにまず頭に出てきたのが守備の部分だった。そこにはいろんな感情があって、もちろん自分の今の一番の課題ではあるので上げていかないといけないという気持ちが一番強いけど、自分の中でもっとやれるという自信もある。だからこそ一番最初に頭に出てきたのが守備だった」

 イラン戦では苦戦を強いられた対人守備だが、内心では「今やれていない部分も自分ならやれるんじゃないかという思いを持っている」と自信もあった。昨年9月にA代表デビューを果たしたトルコ戦以降、試合経験を重ねるごとに局面の対応力を上げている印象もあるが、さらなる経験と準備で上回っていけるという手応えを感じているようだ。

 毎熊はアジア杯期間中、A代表で採用されている欧州基準の守り方とJリーグ基準の守り方の違いを示し、適応していく必要性を口にしていた。今回の「自分ならやれる」という言葉の裏にも、単に1対1で相手に対峙することだけでなく、戦術面での適応も含めた意味が込められていた。

 それでも毎熊が現在プレーしているのはJリーグの舞台。まずは目の前の基準に合わせ、この課題に覚悟を持って取り組もうとしている。

「キャンプに合流して、守り方は代表とは違うし、難しさは感じているけど、そこはもう仲間に合わせていくしかない。たとえばイラン戦では僕のところに2人いる状況だったけど、僕一人でも守れるような力を持ちたいと思った。1試合を通して一人で守らないといけない局面は(守り方とは関係なく)必ず出てくるので、そういった部分でも負けないようにしたいなと思う」

 そうした守備戦術の違いに関しては、同じJリーグでプレーする選手から多くを学ぶことができそうだ。欧州でのプレー経験が長く、長らく日本代表のSBを担ってきたDF長友佑都(FC東京)、DF酒井宏樹(浦和)は格好のロールモデル。いまはライバルチームでプレーしているだけに、彼らを乗り越えるという覚悟もにじませる。

「やっぱりその2選手に共通しているのは守備でやられている印象がないこと。攻撃では負けない自信はあるけど、守備の選手なのでそこは2人の選手から学んでいるし、同じJリーグの選手なので負けたくないという思いもある」(毎熊)

 持ち味の攻撃では相手の警戒が集まることが予想されるが、「分析されても関係なくやらないといけない。まだ代表と違った役割を与えられていると思うので、また違った自分のポジショニングや良さを出しながら、周りの選手も上手く使ってやっていきたい」と胸を張った毎熊。それでも今季はA代表の主力として注目度が高まる中、さらに守備でも大きな違いを見せたいところだ。

「対人の守備には自信があるし、昨季もそこまでやられた印象はない。引き続き僕のサイドからは一切やらせないようにしたい。去年もそう思っていたし、今年はより一層強く思ってやりたい。強く行くという部分が自分の課題でもあると思うし、Jリーグにも強い選手はいるので、そういった選手に負けないようにという部分を意識してやっていきたい」。今季の毎熊は守備にも注目だ。

(取材・文 竹内達也)

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