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浦和新加入MFグスタフソン、代表活動で初の2万km長距離移動後も90分フル出場「僕はプロフェッショナル。これが仕事」

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浦和レッズMFサミュエル・グスタフソン

[3.30 J1第5節 浦和 2-1 福岡 埼玉]

 スウェーデン代表の一員としてヨーロッパでの国際親善試合2試合に出場した浦和レッズMFサミュエル・グスタフソンが、中断明け初戦でさっそく90分間フル出場を果たした。走行距離はチーム最長の11.696kmを記録し、長距離移動の疲れを感じさせないパフォーマンスで今季ホーム初白星に導いた。

 この日のグスタフソンは前半、福岡の元イラン代表FWシャハブ・ザヘディにマンマーク気味の対応をされ、アンカーの位置でボールを受けるのに苦慮。それでも次第にMF岩尾憲が低い位置に顔を出し、グスタフソンがマークを引き連れて高い位置に向かうことで、相手のマークをかいくぐるボール保持が安定していった。

「対人が多い今日のような試合はストレスになる。抜け道としては、ローテーションして(岩尾)憲と僕が後ろと前で入れ替わったりして、そこに(伊藤)敦樹が絡んでくると相手が難しくなる。そこでいい要素が出てきたと思う」。後半は相手の選手交代でプレスが緩んだこともあり、自由にボールを受けられる場面が増えていった。

 試合後、左インサイドハーフに入っていた岩尾はグスタフソンとの関係性を次のように振り返った。

「1アンカーで逆三角形っぽくやっている中で、どこまでダブルボランチっぽくしていいのか、時にはトリプルボランチにしていいのかとか、相手をずらして行くところにおける自分たちのポジショニングの線引きで、どこまで自分たちの判断でやっていいのかをやりながら探っている部分がある。ポジションを守りながらやってみる時間とか、あえて崩してポジショニングを取ってみることを試みた」

「ハーフタイムに佐藤選手から僕のところに入って、僕のところからサミュエル選手がナンバー8のポジショニングで受けて、局面的に4対3のシーンを作ったシーンが前半あったけど、あれがいいシーンとして取り上げられていた。であれば敦樹と僕とサミュエルで、いろんな形を変えながら『要するに相手の中盤のラインを突破したいよね』というところがある程度許容できたので、後半もポジションを変えながら相手に捕まりづらいところでやっていた」

 こうした関係性をグスタフソンも前向きに受け止め、うまく形を変えながらビルドアップに関わっていた様子。そうしたビジョンを実現するためには運動量も求められるが、グスタフソンは来日後最長となる12.073kmを走り抜いていた17日の前節・湘南戦(△4-4)と同様、幅広いエリアを攻守にカバーしていた。

 そんなグスタフソンだが、J1リーグ戦2試合の間にはスウェーデン代表として21日の国際親善試合・ポルトガル戦(●2-5)に20分間超、25日のアルバニア戦(○1-0)に63分間出場。またその2週間のうちには、日本から敵地ポルトガル・ギマランエスに向かって初戦を戦った後、再びスウェーデン・イェーテボリに戻って2試合目を戦い、日本に戻ってくるという約2万kmの過酷な移動も乗り越えていた。

 こうした移動は今季から浦和に加入したグスタフソンにとって「新しい経験」。22年の代表初招集以降、全ての活動はヨーロッパ圏内で行われていたため、その行程は「確かに移動距離は長かった」と苦笑いを浮かべるしかないものだった。

 それでもグスタフソンはクラブと代表との両立について「僕はプロフェッショナルであり、これが仕事です」と力強い言葉も口にした。

 アジアと欧州の移動を数多く経験してきた元日本代表DF酒井宏樹からアドバイスを受けているといい、「しっかり食べて、寝て、体を整えること。そこは自分たちでマネジメントできている」と断言。再開初戦のフル出場にも「試合中に多少疲れは感じる」としながらも、「しっかりトレーニングをして、しっかり準備して、ベストを尽くすもの」と冷静に受け止めていた。

 またそんな疲れも試合後の光景で吹き飛んだようだ。この日はホーム初白星を挙げ、初めて『We are Diamonds』のセレブレーションを経験したが、その感想を報道陣に問われたグスタフソンは、この日一番の明るい表情で「素晴らしい。やっとこの曲を聴けた」と返答。「もっともっと勝って早く歌詞を覚えたい。素晴らしい経験だった。彼らが背中を押してくれることで素晴らしい助けになるし、そのおかげであのように後半カムバックできたんだ」と言葉を続け、サポーターの声援に感謝しきりだった。

(取材・文 竹内達也)

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竹内達也
Text by 竹内達也

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