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[全中]満身創痍のエースが延長V弾!日章学園ここまでのシナリオは完璧…「絶対に勝ちたい」5度目V王手

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号泣する大分中の選手の肩を抱くFW吉崎太珠

[8.23 全中準決勝 鵠沼中1-3神村学園 県総合運動公園第2サッカー場]

 日章学園中(宮崎)が大分中(大分)との九州勢対決を制して、3大会ぶりとなる決勝へと勝ち上がった。優勝すれば、3大会ぶり5度目になる。

 満身創痍のエースがチームメイトの思いを乗せてゴールに押し込んだ。前日の準々決勝で高川学園中(山口)に勝利していた日章学園だが、同試合でFW吉崎太珠(3年)が右足首を負傷。この日はベンチからのスタートを余儀なくされていた。

 しかしスコアレスで折り返した後半開始と同時に自ら出場を志願。ファーストプレーで顔をしかめるなど、明らかに怪我の影響を感じさせたが、決勝に導きたい思いが、足を前に運ばせた。

 すると5分ハーフで行う延長の前半5分、DF高木天(3年)のパスから生まれたこぼれ球を吉崎は右足で押し込む。「みんなが最後まで諦めずに、みんなが繋いでくれたから点が決まりました」。痛みも吹き飛ぶ会心のゴールになった。

 ここまではシナリオ通りだ。決勝で対戦する神村学園は、九州予選の決勝で敗れた相手。組み合わせが決まった時から「神村と決勝で再戦」することを、チーム内で共有してきた。また今大会は花房亮太監督の故郷である香川県で開催。チームには「優勝して胴上げしたい」という特別な思いもある。

 そして大会を通してもドラマがあった。ベスト8に進んださぬき市立さぬき南中の夏田英司監督は、花房監督の高校と大学の先輩で、今年2月には一緒に合宿を実行。さぬき南中を破った大分中へのリベンジを果たせたことにも喜びがあるという。さらに神村学園には2回戦で兄弟校の日章学園鹿児島育英館中(鹿児島)が敗戦。花房監督は「育英館のためにも頑張りたい。いろいろと風が吹いていますね」とニヤリとした。

 心配されるのは、すでに高校世代のプリンスリーグにも出場しているエース吉崎の足の状態だ。本人は「明日は先発で出ます」と強く意気込むが、勝負所での起用になる可能性もある。「11人が11人でつながること。そのために汗をかいて走って、戦ってというところだと思います」。花房監督が強調したように、全員で戦うことで最高のシナリオを完成させるつもりだ。

 決勝は明日24日、丸亀市にあるPikaraスタジアムで10時にキックオフ。NHK Eテレで生中継される。

(取材・文 児玉幸洋)
●第54回全国中学校サッカー大会特集ページ
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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