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決戦前日に熱い想い伝え、1-0で全国へ。関西大北陽の支柱、CB大平直哉主将

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関西大北陽高の支柱、CB大平直哉主将

[6.11 インターハイ大阪府予選準決勝 関西大北陽高 1-0 興國高]

 予選期間中に復帰したCB大平直哉主将(3年=ヴィッセル神戸U-15出身)の存在が、関西大北陽高にとって非常に大きかった。代表決定戦となった準決勝では、「チームの中心ということで味方のミスは自分が守るとやっていたので守れて良かった」という仲間を後方でサポート。U-16日本代表候補歴を持つMF宮原勇太(2年)をはじめ、タレント揃う興國高に再三ゴール前までボールを運ばれていたが、最後は必ず大平やGK野津照太郎(3年)、CB宝栄朔弥(3年)が対応し、70分間ゴールを守り抜いた。

 声でもチームを後押し。「前から掛けるチームは声を出していかないと精神的にも持たないと思うので、しっかり後ろが励まして、褒めるところは褒めると徹底してやりました」。行くべきところは行く、引くべきところは引く。関大北陽は声の後押しを受けながら戦い、今大会5度目の無失点勝利で全国切符を獲得した。

 中学時代はFW。思うような結果が出せない中、卒業間際にCBへコンバートされたことで道が拓けた。3年生12月の全日本ユース(U-15)選手権は、4試合ほぼフルタイムに出場してゴールも決めるなど、チームの3位に貢献している。

 実績も備えたCBだが、今年3月初旬の練習試合で骨折するアクシデントに見舞われた。インターハイ予選の序盤戦には間に合わなかったが、それでも6回戦で復帰。この日は的確なカバーリングと最後の一歩が出る強み、そしてコーチング力を発揮してその存在価値の高さを改めて印象付けた。

 矢田竜之監督はその大平について、「みんな、大平がこう言ったら僕らもこうやろうぜという発言力がある」と説明する。その主将は全国大会出場を懸けた大一番の前日、ミーティングの最後に熱い想いを伝えたのだという。

 指揮官はそのシーンについて、「大平が最後にキャプテンとして『自分は力が無い』と本音で語ったんですね。みんなをまとめることができなくて、この一週間あんまりパフォーマンスが上がっていないし、元気がないって。でも、『あと1日あるからみんなでこのチームをどうにかしよう』と本音で言ってくれたことでチームはグッとなって、きょうは良い顔で入れたかなと思います」と明かす。

 準決勝へ向けた一週間、関大北陽は興國高のポゼッションに対するディフェンスがなかなか定まらなかった。どこか集中力も欠けており、チームの雰囲気は低下。全体的にイライラしてしまう部分もあったようだ。

 大平は「近畿大会出場が確定した中でチームとして一息ついたのがあった。練習で球際の弱さも出ていました。自分が締めないといけない。まずは大阪一を達成する中でチームをまとめるのは僕の役目」と感じ、仲間たちへ向けて発言。本人の「熱い想い」が仲間たちにも伝わり、ギリギリのタイミングで狙いとする戦い方を実行できるようになった。

 この日チームはほぼ隙なく戦い、無失点での全国切符獲得を全員で喜んだ。チームが掲げる『下剋上』を全国でも。大きな器で関大北陽を支える主将が、もう一段階チームをレベルアップさせてインターハイを迎える。 

(取材・文 吉田太郎)
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