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堅守速攻で先制点。清水桜が丘は延長戦で敗れるも、プレミアWEST首位・静岡学園を追い詰める

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後半24分、清水桜が丘高はMF相川郁也が右足で先制ゴール

[6.4 インターハイ静岡県予選決勝 静岡学園高 2-1(延長)清水桜が丘高 エコパ]

 目線をまた引き上げる100分間となった。清水桜が丘高は、プレミアリーグWEST首位の静岡学園高を追い詰める戦い。相手のU-18日本代表候補FW神田奏真(3年)相手にCB木村海惺(3年)が健闘して起点になることを許さず、サイドのドリブラーを両SBとSHが連係して良く封じていた。

 静岡学園の川口修監督は「真ん中堅かったし、球際とか非常に強かった」と説明する。多くの時間帯でボールを握られ、なかなか前進することができなかったは確か。それでも、木村やMF瀧怜真(2年)が強度の高い動きを見せるなど0-0で試合を進める。
 
 後半開始から2枚替え。前へのパワーを加えた。なかなか決定機を生み出すまで至っていなかったが、後半24分、中盤でボールを拾い、縦、左サイドへテンポよく繋ぐ。そして、交代出場の左SB五十嵐洋斗(3年)が左足の絶妙なグラウンダークロス。相手のCB、SBのわずか先を抜けたボールを大外の右SH相川郁也(3年)が右足1タッチでゴールへ流し込んだ。

 相手指揮官も「素晴らしかった」と認める速攻からのゴールで先制。ダイナミックなサイドの攻め上がりと、力強くゴール前に入ってフィニッシュする伝統の形で11,822人の観衆を沸かせて見せた。

 その後、より前がかりになった相手からFK、カウンターでビッグチャンス。クロスバーや相手GKのビッグセーブに阻まれ、2点目を奪えなかったことが白星を遠ざけた。GK高田翔(2年)の好セーブや木村、CB藤田匠人(3年)らDF陣の奮闘で1-0を維持していたものの、延長後半終了間際にスーパーゴールを決められて同点。直後に奮闘の光った右SB岡谷龍斗主将(3年)の右足ミドルなどで攻め返して見せたが、延長戦で勝ち越されて力尽きた。

 片瀬晴城監督は試合前、選手たちがやや力みすぎていることを不安視していたが、特に先発選手たちは冷静さも持ちながら、できることを全力でやり切った印象だ。試合後、指揮官が求めていたことは、言い訳や責任転嫁することなく、現実を受け止めること、また努力すること。涙を流して悔しがっていた選手もいたが、その悔しさはこれからの糧にするだけだ。

 選手権優勝3回の清水商高時代のようにタレントが集まっている訳では無い。この日、系列のFC桜が丘の5選手が先発に名を連ねていたように、地元・清水や近隣出身者で構成されている。それでも、公立校は静岡決勝で力を発揮。全国大会で東福岡高を撃破した4年前以来のインターハイ出場へあと一歩まで迫った。

 片瀬監督は清水桜が丘のサッカー部員、生徒たちによって青く染まったスタンドを見つめながら、「みんなが来て、良いゲームをした。これが凄く大事。この子たちに何かが残れば良い」とコメント。プリンスリーグ東海から静岡県1部リーグへ降格した今年、春先から大学生とのトレーニングマッチを重ねて強化してきた。そして県新人戦4強、インターハイ予選準優勝。目線を上げている選手たちは、サポートしてくれる人々への感謝を忘れず、また力を磨いて選手権で“あと1勝”を果たす。


(取材・文 吉田太郎)
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