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[MOM4340]日大藤沢GK野島佑司(3年)_フィールド出身の188cm守護神、仲間を救うPKセーブ

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PK戦5人目、日大藤沢高GK野島佑司(3年=横浜FCジュニアユース戸塚)が右へ跳んでストップ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.17 インターハイ神奈川県予選準決勝 桐蔭学園高 1-1(PK3-4)日大藤沢高 等々力]

 ヒーローとなったPK戦終了後、背番号1は歓喜のスタンドではなく、ハーフウェーライン付近にいた右SB片岡大慈(3年)の方へ向かい、抱擁。静かに勝利の喜びを分かち合った。

 この日、交代出場した片岡はPK戦5人目に登場。決めれば勝利の決まるキックをクロスバーに当てて外していた。だが、直後にGK野島佑司(3年)が右へ跳んでストップ。勇気を持って5人目のキッカーを務めた片岡、チームを救うビッグセーブだった。

「片岡、怪我して復帰してやってベンチに戻ってこれたので。自分も関東(予選)決勝の時期から怪我していて、関東の本戦くらいから復帰したんですけれども、アイツと1か月くらいリハビリ頑張っていたので、その時に片岡がインター厳しいかも、大変かもねというのは知っていた。一緒に出れたことの嬉しさもあった」。片岡は抜群のロングスローと守備能力の高さを武器に昨年度の選手権全国大会でも活躍。守護神は、一緒に頑張ってきた仲間と全国を戦えることを喜んでいた。

 決して得意ではないというPK。だが、1本目、2本目ともにコースを読み切るなど、チームに期待感を抱かせていた。「自分が止めるまで決めてくれるという安心感があったので、落ち着いてできます」という野島は5人目、慌てず、キッカーの動きをじっくりと見てから見事に大仕事をしてのけた。

 ゲーム主将のMF安場壮志朗(3年)から「オマエが勝たせろよ」のメッセージとともにキャプテンマークを託されていた守護神。準々決勝の東海大相模高戦に続いてPK戦で1本を止め、日大藤沢を勝たせた。

 小学生時代はフィールドプレーヤー。その一方、通っていたサッカースクールではGKを務めていたという。中学時に所属した横浜FCジュニアユース戸塚のGKコーチの指導に魅力を感じていたこともあり、GKに専念。「やるごとに楽しさが増えてきた。唯一手が使えるポジションなので、自分がチームを救えるであったり、中学の時もあまり上手くなかったけれど、流れを切ったり、たっぱ(身長)を活かしたセーブだったり、シュートを止める喜びを感じることが多かったですね」

 日大藤沢では先輩GK岡本亜鶴(現日本大)の下で人間力を含めて学びながら成長。佐藤輝勝監督は「(接戦で野島のような)自分に向き合える選手がいたのはありがたかった(岡本と異なり)声とか存在感というよりも、後ろできょうも分かると思うんですけれども、ハイボールも、処理も、足元の部分も安定感がある。チームに凄く安定感を与えてくれる。GKらしくなってきた」と評する存在になった。

 本人はキックに自信を持っているが、この日対戦した桐蔭学園高GK神保颯汰(3年)のプレーを見て、「もっともっと上がいるので練習してより強みにしていきたい」。貪欲に成長を続け、攻守でチームを勝たせるようなGKになる。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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