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NIKE FC、選手権準Vの京都橘U-17相手に健闘も残り5分で力尽きる

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[4.2 練習試合 NIKE FC0-5京都橘高 J-GREEN堺]
 
 残り5分から5連続失点で0-5敗戦。ただ、練習わずか1日の「NIKE FC」が練習試合(30分×2本)で全国高校サッカー選手権準優勝の京都橘高(京都)のU-17チーム相手に健闘した。

「上手くなりたい」「プロになりたい」などと願う、育成世代のフットボールプレーヤーに向けて、ナイキジャパンが特別に行なっているプログラム、「NIKE FC」は1日から初の関西遠征を実施。1日にイングランドの名門、マンチェスター・Uのアカデミーコーチを務めるニール・ライアン氏から指導を受けた選手たちは翌2日、2試合が行われた練習試合の第1試合で京都橘と対戦した。

 4-5-1システムの新布陣を採用したNIKE FCの先発メンバーはGK佐藤建太(柏日体高3年)、4バックは右から南雲丈一郎(東大和高2年)、北村大輔(藤沢西高3年)、石田優輝(大東文化大一高3年)、生田目将汰(大山高2年)。中盤は長谷川慧多(柏日体高3年)と大野良騎(松山高1年)のダブルボランチでトップ下が丁野大河(田方農高3年)、右MF和田健二(大森学園高3年)、左MF久保竜士(三浦学苑高1年)、1トップには池田豊史貴(浅野高3年)が起用された。

 開始直後に右サイドから仕掛けた和田が右足を振りぬき、12分に中央で前を向いた丁野が左足ミドルを放ったものの、前半のNIKE FCの攻撃にはほとんどいいところがなかった。普段は別々のチームでプレーしており、2月10日に行われたセレクション後、初の試合ということでそれぞれの特長もつかむことができていない。前日ライアンコーチから学んだスペースへの動きがなく、サポートもわずか。ポジションチェンジして相手を惑わすようなシーンはなかった。

 ロングボールを蹴らずに攻める意思が確認されていたため、選手たちは自陣からのポゼッションにチャレンジしていた。ただ低い位置ではボールを保持できるものの、くさびのパスが強すぎたり、出し手と受け手の呼吸が合わないなどパスミスを連発。センターライン付近でボールをインターセプトされてはバイタルエリアで相手に前を向かれる苦しい時間帯が続いた。

 それでもクロスボールを難なく対応する佐藤の存在が守備を安定させ、「インターセプトの場面とかちょっと遅れてしまうと、相手に先に触られてしまうので、そういうところはもうちょっと改善したいと思うんですけど、自分なりに1対1では取れる場面もあったのでそこは良かった」と話した北村が1対1の場面で好守を連発。生田目が好カバーリングでピンチの芽を消す場面もあった。相手の決定機がオフサイドとなるなど無失点で試合を進めると、横パスの多かった攻撃も中盤のスペースを上手くついた大野が前を向いて前進するなど、少しずついいシーンもつくりだした。そして0-0と健闘して前半終了を迎えた。

 ベンチで試合を見守ったライアンコーチから「もっと前を狙っていこう。横、横だと何も起こらない」とメッセージを受けて迎えた後半、NIKE FCはメンバー9人をチェンジ。GK片山淳介(神奈川大附高1年)、右から北村、渡辺拓磨(石神井高3年)、蜷川翼(立川国際中等教育学校3年)、南雲の4バック。石積玲央(橘高3年)と検本裕也(立川国際中等教育学校3年)のダブルボランチでトップ下が渕野大介(神奈川大附高2年)。右MFが山口和樹(日本ウエルネス高3年)で、左MFが八重樫幸起(東大和高3年)、1トップが犬飼元氣(東京23FCセカンド=高3)の陣容で後半に臨んだ。この時点で負傷欠場したDF高島和己(東大和高3年)とMF菊池大輔(矢板東高3年)を除く全選手がピッチに立った。

 開始から山口や渕野が激しく相手ボールを追い回すなど、前半に比べてダイナミックさが加わったNIKE FC。3分にはPAでクリアが甘く、ゴール至近距離から決定的なシュートを放たれたが、片山がビッグセーブを見せてチームを鼓舞すると、守備陣がPA付近で粘り強い守りを披露する。ただ後半も選手たちは普段感じることのないような相手のプレッシャーにミスを誘発させられ、なかなかパスを3本つなぐことができない。それでも相手のシュートミスに助けられたNIKE FCは、23分にはゴール正面でDFが外されながらもシュートを片山がファインセーブで阻むなど、相手に食らいついたまま終盤を迎える。

 ただし、ここでチームの弱さが出てしまう。後半25分、左CKを中央で折り返されると混戦から失点。27分にも抜けだされて失点すると、完全に集中力が切れて29分、30分、31分と立て続けにゴールを破られてしまった。ライアンコーチは試合後、「(相手との)大きな差は感じなかった。ただ、ラスト5分で5点を取られました。1点、2点を取られたくらいで顔を下げるのではなく、盛り上げていこう。難しいのは勝っている時ではなく、負けている時にどうするか」。

 守備で獅子奮迅の動きを見せていた北村は「前半と後半とで相手チームのメンバーは変わらなかったのに、自分たちは後半足が止まっている場面が多く、気の抜けたプレーもケアレスミスも多くて1点取られてしまった。それからみんな気持ちが負けていてそこをどんどん突かれた」と反省。2日間の関西遠征の感想については「凄く楽しかったですね。マンチェスターからコーチが来てくれて、日本じゃないマンチェスターの指導を受けて、日本と変わらないんだなと思った。あとは自分たちの気持ちで変わるんだなと。もっと頑張れば自分もまだまだいけるんじゃないかなと感じました。今回、こんな凄い経験をさせてもらった。もっともっと努力して、自分のチームでスタメン取って、いろいろなスカウトマンから目をつけられるような選手になれるように。この経験を活かしていきたい。あとはこのチームでキャプテンをやらせてもらっているので、それを誇りに持ってナイキを代表してこれからも頑張っていきます」と誓っていた。

(取材・文 吉田太郎)

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