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「味方が助かるという思いで走れる」。走力、技術力で違い示す鳥栖U-18MF楢原慶輝は感謝の念も原動力に

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その走力と攻撃力によってサガン鳥栖U-18を支え、引っ張るMF楢原慶輝

 サガン鳥栖U-18は現在、“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグWESTで暫定首位に立っている。今年は攻守に力のある選手が多い注目世代。ジュニア時代からサガン鳥栖の育成組織でプレーするMF楢原慶輝(3年=サガン鳥栖U-15出身)は、サガン鳥栖U-15時代に日本クラブユース選手権(U-15)大会を制し、高校1年時には日本クラブユース選手権(U-18)大会優勝も経験している。年代別日本代表としてアジアで戦った経歴を持ち、今年2月のルヴァンカップでトップチームデビュー。サガン鳥栖で培ってきた技術力や走る力をピッチで人一倍表現する楢原にスパイク選びやピッチ内外で意識していること、今後の目標などについて聞いた。

―試し履き会で着用した『442』の感想について教えてください。
「今までのニューバランスの勝手なイメージだと、履いた時に大きくて、中でズレるというイメージがあったんですけれども、今回の新しいモデルはかかとの安定感が増したなと思います」

―足が中で動かない。
「動かなかったですね。ボールコントロールも柔らかくて、ちょっとやりやすかったです」

―普段、スパイク選びで重視していることは?
「ズレの少なさや履いた時のフィット感はこだわって選んでいます」

―普段アシックスを履いているのは、その理由が大きい?
「DSライトの4とかプロも履いています。アジリティが武器なので、そこでズレがないように選んでいます。DSライトはズレが少なくて軽さもあるので。(天然)皮革でかかともキュッとなっていて、ズレも少ない。タッチもやりやすいというのがあります」

―『442』のボールタッチはどうでしたか?
「アシックスのものに近かったと思います」

―デザインは?
「白が好きなので、ワンポイントで赤が入っていて良いと思います」

―プレミアリーグはチームとして良いスタートが切れているが、どのような評価をしていますか?
「1試合1試合感じることが多くて。できたこと、できなかったことを整理するようにと常日頃言われていて、本当に一戦必勝で目の前の相手に勝つことを意識してやっていて、それが結果に出ているかなと思います」

―前評判通りの戦い。
「自分たち勝って慢心するということが絶対になくて、常にチャレンジャー精神でやっています。自分たちをそんなに低く見ることもないですし、高く見ることもなくて、常にチャレンジャーとして戦って勝てているかなと思います」

―自身のパフォーマンスの評価は?
「結果はもう少し求めていきたいんですけれども、チームのために戦うところとかも、自分のストロングポイントになりますし、そこは出せていると思います」

―後半開始直後から10人で戦った静岡学園戦でも特に怖い存在になっていた。
「自分が前から追ったり、切り替えでボールを奪ったりして、味方が助かると考えたら、『味方が助かる』という思いで走れるのでそこは意識してやっています」

―目立つプレーも、チームを助けるプレーも両方することができる。
「ゴール前こだわるところも常に練習から(田中智宗)監督にも言われていて、そこも意識しながら戦う部分、サガン鳥栖のベースとして大事なものもしっかりとやっていくことを意識してやっています」

―トレーニングで特に意識していることは?
「最終学年ということで周りに伝えることも増えましたし、自分もプレーで簡単なところでミスをしてはいけないと思うので、プレーでも引っ張るというところを意識してやっています」

―トップも経験して視界がまた開けたのでは?
「トップに練習参加させてもらったり、キャンプに帯同したり、ルヴァンカップに出させてもらい、肌でJリーグの厳しさや強度の高さを経験して、本当にプロの厳しさとか分かりました。だからこそ、こっち(U-18チーム)に戻ってきて『もっとやらなきゃいけないな』という気持ちになりましたし、変えようと思いました」

―ルヴァンカップの興奮は忘れられないのでは?
「まだちょっと出ただけなのでコンスタントに出られるようにしたいです。(デビュー戦は前日の)夜も緊張していて、でも実際楽しみの方が勝っていて、その日になって先輩方からも色々と声を掛けてもらって、本当に自信を持って立つことができました。(川井健太)監督やユースのスタッフ、トップの選手、ユースの選手たち、関わってくれたすべての人に本当に感謝しかないですね」

―壁にぶち当たったという経験もある。
「1年生で3年生の試合に出ていた頃は攻撃で明らかな違いを見せるとかそういうのはあまりなかったかなと思うんですけれども、その分ハードワークで補っていました。上級生になってより意識して、違いを見せるというところでは変えられているかなと思います」

―今、特に自分に求めているところは?
「最後のクオリティ、プレーの一つ一つのクオリティというところを求めてやっています」

―将来をどう見据えている?
「まず、トップに昇格するということを見据えていて、そこから試合に絡んでいけるように。プロの強度の高さや質の高さに追いつけるようにまずは努力したいなと思います」

―ピッチ外では目立つタイプ?
「学校ではあまりはしゃいだりしないですね。意外と喋る機会もないんですよ」

―自身の性格は?
「寮とかでは、はしゃいでいますね」

―ピッチとは切り替えている。
「考えたり、試合を見たりもするんですけれども、切り替えるところは切り替えてやっています。ゲームは基本しないです。一番は音楽。サッカー以外のお風呂の時とか、筋トレの時は自分が選んで音楽を流しています」

―何を流したりしている?
「自分はヒップホップ系が好きなんですけれども、一緒にお風呂に入る人に合わせたりしています」

―サッカーを始めたのは?
「自分は2つ上にお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんが小学校のチームに入るってなった時に自分年長だったんですけれども、『ずるい!』『自分も入りたい!』って言って無理にやらせてもらいました」

―サガン鳥栖に進んだきっかけは?
「小学校の時なんですけれども、『レベルの高いところでやりたい』と親に話していました。その頃、お父さんが鳥栖の方で働いていて、鳥栖のジュニアが練習しているところとか通りかかっていたのもあって、『セレクション受けてみない?』と言ってくれてチャレンジしようと思いました。小4の冬ですね。そこで受かりました」

―筑後市(福岡県)の自宅から通っていた。
「通っていました。鳥栖まで電車で18分くらいなので、そこから自転車で移動して、帰りは鳥栖駅まで戻って。親が迎えに来れる時は拾ってもらって、無理な時は電車で帰っていました」

―大変ではなかった?
「中学校は、(送り迎え無く)全部電車で。小学校の時よりは全然頼らずという感じでした。でも、家族の支えがなかったら絶対に今入れていなかったですし、本当に感謝しか無いですね。(鳥栖へ進んでいなかったら)今、高校の部活でサッカーをやっていたかもしれないです」

―感謝の思いは強い。
「家族とかは自分のなりたいようにと常に言ってくれるんですけれども、自分は家族への恩返しというのを一番考えているので。ここまで支えてくれたので絶対に恩返ししたいという思いで絶対にプロになって、家族全員サッカー好きなので、試合を観てもらいたいなと思っています。まずはトップ昇格して、活躍して日本代表になりたいです」

―鳥栖のサポーターの方々に見てもらいたところは?
「サガン鳥栖で育ったのでサガン鳥栖の魂というか、ベースの部分は小さい頃から培ってきたので、それをピッチで表現できるというところは見て欲しいですね」

―サガン鳥栖愛は特別。
「今、鳥栖のアカデミーダイレクターをやっている佐藤(真一)さんが、自分がジュニアに入った時の監督で、その時からずっと見てくれています。自分が小学校の時から見てくれているスタッフや選んでくれた人たちがいなかったらこのピッチに立てていないですし、本当に感謝しています」

(取材協力=ニューバランス)
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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