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[MOM4138]昌平DF津久井佳祐(3年)_復調と違い示した主将。特別なMFとの1対1で磨いた「奪う力」発揮

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昌平高CB津久井佳祐主将(3年=FC LAVIDA出身)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.9 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ2回戦 昌平高 2-0 浜松開誠館高 広島一球]

 まだコンディションはパーフェクトではない。それでも、復調してきた主将が強敵との差をつける守り。昌平高(埼玉)をプレミアリーグ初昇格へ導いた。

 2-0で勝った試合後、昌平の藤島崇之監督は「センターの津久井と石川の2枚が際の勝負とかできていたので、優位性の働いていた部分なのかなと思いますね」と鉄壁の守備を見せた2人のCB、津久井佳祐(3年=FC LAVIDA出身、鹿島内定)と石川穂高(2年=FC LAVIDA出身)を称賛した。

 プリンスリーグ東海優勝の浜松開誠館高(静岡)は奪ったボールを取ると、切り替えの速く前へ。突破力のある選手を活用しながら鋭い攻撃を繰り出してきていた。その中で前半から目立つ動きを見せていたのが津久井だ。プリンスリーグ関東1部で立ち上がりの失点が課題となっていたため、石川と話し合って試合開始から集中した守り。その中で相手のハードワーカー、FW坂上輝(3年)を厳しくチェックした。

「分析で収める系というのは分かっていたので、バチバチ行こうと思って潰しに行きました」。前線で起点になろうとするCFに厳しく身体をぶつけて潰し、時に身体を巧みに入れ替えてインターセプトしていた。また、相手の攻撃を読み切り、スペースへのボールに対して一際速く反応。以前、鹿島の牛島真諭スカウトも高く評価していたボールを奪うスキルの高さを随所で披露していた。

 津久井は元々ボランチでCBへ転向したのは高校進学後だ。ビルドアップ、フィード力が高い一方で特別な強さがある訳では無い。だが、ボールを奪えるCBに成長し、鹿島入りを勝ち取った。

 ボールを奪う技術はチームメートの強力ドリブラー、FC東京内定MF荒井悠汰(3年)との1対1のトレーニングで培ったものだ。「(きっかけは中高チームメートの)悠汰との1対1ですね。(彼以上のアタッカーは)本当にいないですね。しかも身体が強いので、身体の当て方とか相手が強くてもできるようになってきた」。荒井は高校生離れした肉体とテクニックの持ち主。彼とボールの奪い合いを繰り返しながら感覚を磨き上げてきた。

「(自分のボールを奪う力は)感覚ですね。(相手が)一瞬緩むという感じがある。ボクはボランチだったので分かるんですけれども、ドリブルする時に一瞬ふわっとなるところがあると思うので、そこをクッと行く感じですね」。

 本人は終盤に判断ミスがあったことを反省していたが、インターハイ準々決勝で右足首脱臼、靭帯断裂の大怪我を負ったCBが復調を印象づける守りを見せた。負傷から3か月弱で復帰。まだ痛み止めを服用しながらのプレーで、90分間完璧な動きができている訳では無い。それでも、試合を重ねながら負傷後にあった球際の怖さは払拭。「ガツガツ行こうとは思っていました。きょうはできました」。状態の上がってきているDFは、FC LAVIDA、昌平で磨いてきた奪う感覚も活かして強敵・浜松開誠館の攻撃を封鎖。石川らチームメートのサポートも受けながら無失点勝利を勝ち取った。

 まずはプレミリーグ昇格の目標を達成。津久井は「この一週間休めるので、(怪我を)治して選手権に向かいたい」。インターハイは津久井が負傷欠場した準決勝で敗退。一戦一戦に集中しながら、夏果たせなかった日本一を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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