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[横山杯]「頑張り屋の学年」が鍛錬の冬。前橋育英の2年生は泥臭く力を積み上げて、23年に輝く

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前橋育英高のリーダーを務めた187cmCB熊谷康正(2年)

[12.27 横山杯決勝リーグ第2節 前橋育英高 2-3 習志野高 ジャーニィー若松グラウンドB面]

 日本一世代の背中を見ながら努力を重ねてきた世代だ。前橋育英高(群馬)はAチームの正守護神・雨野颯真(2年)を除き、新シーズンへ向かう1、2年生が横山杯に参戦。怪我などがあって、様々なカテゴリーから集まったメンバーによって大会に臨んでいる。

 戦いながら徐々にチームの形になってきているものの、まだまだ隙がある。習志野高(千葉)戦は立ち上がり15分間で3失点。ともに選手権登録メンバーのU-16日本代表CB山田佳(1年)と21年U-15日本代表候補MF石井陽(1年)、またプレミアリーグ登録メンバーの187cmCB熊谷康正(2年)らが先発していたが、悪い流れを止められなかった。

 今回、立候補してチームリーダー役を務める熊谷は、「甘さが出た試合だったかなと思います」。心折ることなく、FW中村太一(1年)の2得点で1点差に迫ったが、2-3で敗れた。まだまだ失敗も多いが、チャレンジしてのモノ。B戦でも素晴らしいアイディア、コンビネーションでゴールが生まれるなど、各選手が貴重な経験を自分の力にしようとしていることが印象的だった。

 櫻井勉コーチは2年生の世代を「頑張り屋の学年」と評する。彼らはコロナ禍で中学3年生、高校1年生と思うようにサッカーができなかった学年だ。今年の前橋育英の3年生は下級生時から選手権などを経験した選手が多く、インターハイでは13年ぶりの日本一。初参戦のプレミアリーグEASTで堂々の戦いを見せ、セカンドチームもプリンスリーグ関東2部への昇格を果たした。

 選手権メンバー30人中27人が3年生。2年生は彼らの中に割って入ることができていないが、櫻井コーチは「(中学時代にサッカーができなかった分、)高校時代に伸びしろがあると思う。その伸びしろを増やしてあげたい。2年生は頑張るので。面白いと思います」という。

 熊谷は現2年生について、「耐えて、耐えて泥臭いところは全員持っている。2年生みんなサッカー好きで、1年生の時、ルーキーリーグで結果出なくて弱いとか言われていて、それも全部自分たちは自覚している。夜自主練行ったり、オフの日もほぼ全員グラウンドへ行ったり、サッカーが好きな子が多いですね」と説明。3年生については「今年のトップは個が強い。やっぱり凄いです。ボールを止める・蹴る一つにしても凄い。見ていて安定感がある」と分析するが、自分たちも可能性を増やし、4月開幕のプレミアリーグやインターハイ、選手権で強豪に勝ち切るチームにならなければならない。

 熊谷は欠場したDF清水大幹(2年)に代わるリーダーとして臨んでいる今大会について、「夏までプレミア、和倉(ユース大会)とか行っていたけれど、その経験を還元して、まとめてやりたいなと思って立候補しました。全然リーダーとしてはまだまだ未熟です。(その中で)試合中まとめるところとかは意識していました」。3年生の主将、MF徳永涼の姿から影響を受けて表現しようとしている部分もある。

「ピッチの中では絶対的ですし、彼の言葉で盛り上がるみたいな。盛り上げ方は上手いです。ピッチ外でもしっかりしていて、オンオフの切り替えも凄く参考になっています」。今年はCB齋藤駿(3年)やCB杉山陽太(3年)を超えることができなかったが、前橋育英の新たなエアバトラーはプレーヤーとしてもチームを支える、また勝たせる選手にならなければならない。

「まず無失点のところ、失点をなくしてセットプレーで点を取るくらいの選手にはなりたいですね。絶対的なCBになっていきたいですし、後ろで安定感あって、ビルドアップも上手くチームもまとめるくらいのCBになりたいですね」

 そして、頑張るチームメートたちと一緒に先輩たちと同等、それ以上の成績を目指す。「まず新人戦がありますし、そこでしっかり結果を取って、プレミアも上を目指して、夏のインターハイ、一個上は取っているので、そこも取れるようにしてしっかり選手権に繋げていきたい」。まだまだ自分たちは伸びる。この冬、先輩たちの戦いを後押しし目に焼き付けること。同時に自分たちが主役となるための準備は欠かさない。

(取材・文 吉田太郎)
●横山杯第23回全国ユース招待サッカー大会特設ページ

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