[1.6 NEW BALANCE CUP決勝 流通経済大柏高 1-1(PK4-2)八千代高 時之栖裾野G]

　ライバルを超える一年にする。流通経済大柏高(千葉)のMF笠松良緒(2年=RIP ACE SOCCER CLUB)は準決勝、決勝と存在感のある動き。ベンチから「それ、止めちゃうんだ」という声が出るほどファーストタッチの質が高く、絶妙なターンやドリブルでDFを振り切ってしまう。連係で崩す力、守備でボールを取り切る力も発揮していた。

「ファーストタッチは自信があって、結構やってきたのでそこは成果が出たと思います。大会通して上手く行った部分と上手く行っていない部分があったけれど、(ボールを)失うシーンが少なくて守備でもガッツリ行って奪えるシーンが多かった」と自己評価。だが、全く満足はしていなかった。

「クロスの質とか相手に当たったり、シュートのところで決めきれないところが多かった。守備は良かったけれど攻撃のところは満足していないです。(特に)フィニッシュのところが全体を通して良くなかった」

　高校からプロ入りする選手は希少。特にアタッカーの選手は決める力がなければ、評価されることは少ない。それを理解している。決勝ではベンチから「決めろ」「逃げるな」という声に呼応するように、左サイドでの1対1でチャレンジ。ドリブルで打開したほか、カットインからの右足シュートを枠へ飛ばすシーンもあった。だが、この日は“惜しい”で終了。だからこそ、エース候補は決め切る力を磨く意気込みだ。

　先行するライバルに追いついてきた。笠松は大阪の強豪街クラブ・RIP ACE SOCCER CLUB出身。毎年のように好タレントを輩出するチームで2年時から先発を務めていた注目株だ。

　だが、当時のチームメートで興國高(大阪)へ進学したMF宮原勇太(2年、21年U-16日本代表候補)が入学前から活躍。1年時にスーパールーキーと騒がれる一方、笠松はなかなかAチームで出番を得られることができず、2年間は十分な活躍をすることができなかった。

「自分も頑張らないといけないです」と笠松。ただし、「ひたすらグラウンド残ってボール蹴ったり朝練行ったりしていた」というMFは、最終学年となって自覚が増したこともあり、強豪相手の戦いで目立つことができ始めている。

　中学時代は、「一個上の代で、2人で出ていた」こともあって2人組のトレーニングでは常に宮原と活動。現在もサッカー、プライベートについて連絡を取り合う仲だ。宮原も多用様性を身に着けながら成長しているが、笠松は「負けていないぞ」という気持ちを表現し、ライバル以上の一年を送る意気込みだ。

「今年は3冠目指してみんなでコツコツ頑張って、悔いなく1年を過ごしたい。抜け目なく、サボらず、コツコツと頑張っていきたい。個人としては、どの大会も全部結果残して親とか大阪の子とか、応援してくれている人に感謝の気持ちを伝えたい」。試合を決定づける選手に成長し、流経大柏を勝たせる選手になる。

(取材・文　吉田太郎)