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[新人戦]苦闘も「成長のための試練」。プリンスリーグ勢の就実が延長戦で岡山芳泉を振り切る

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延長後半3分、就実高は交代出場FW松澤悠紀(11番)が決勝ゴール

[2.4 岡山県高校新人大会2回戦 岡山芳泉高 1-2(延長)就実高]

 4日、令和4年度岡山県高校サッカー新人大会2回戦が行われた。プリンスリーグ中国勢の就実高は公立の岡山芳泉高と対戦。延長後半3分に交代出場FW松澤悠紀(1年)が決勝点を決め、2-1で逆転勝ちした。

 就実は後半残る3分に追いつき、延長戦勝利。須田二三明監督は延長戦開始前に「成長するための試練だな」と選手たちに話したという。総社南高に1-0で勝利した初戦に続く接戦。だが、前向きに戦った就実が勝利し、また一つ成長することに成功した。

 立ち上がりから猛攻を繰り出した就実だが、ポストに阻まれるなど飲み込むことができない。ボール奪取が得意で攻撃力も秀でた10番MF樋口琉生(1年)やアンカーのMF西村大和(2年)を軸に攻撃し、推進力が魅力のFW森山旦冴比(2年)がゴール前へ割って入る。

 だが、決定機を岡山芳泉GK田村雄一朗(2年)やCB小林篤人(1年)に阻まれるなど後半半ばまで無得点。森山の負傷交代も影響したか、チャンスを作るも決め切ることができず、逆にショートカウンターからシュートへ持ち込まれるシーンもあった。岡山芳泉は10番MF松尾直紀主将(2年)が存在感のある動き。的確にボールを運び、スルーパスでチャンスの起点となっていた。

 そして、後半19分、岡山芳泉が先制する。自陣からボールを運んだ松尾が距離の長いスルーパス。これで抜け出したMF瀬納慎平(2年)が鮮やかな左足ループシュートを決め、歓喜を爆発させる。

 就実は直後、選手交代によってCBの峰沢悠月主将(2年)を前線へ上げ、パワープレーへシフト。「練習試合から取られた後のシチュエーションは想定していた。そこから点も取れていたので、自信もあったので、自分が前出たら点取ってやろうという思いはめちゃくちゃ強かったですね」という峰沢を軸に反撃を展開する。

 29分にCKから峰沢の放ったヘッドはGK田村が反応。それでも、ピッチ外からの声も後押しに攻める就実は32分、右サイド後方からのFKに「(強いと言われていた先輩たちに負けないように、)自分たちの学年は練習から一体となって声も出している。そこは絶対に外したらいけない。サッカー以外のところでも気持ちのところは自分がチームを引っ張ってやらないといけない」という峰沢がわずかに触れると、最後は混戦から西村が劇的な同点ゴールを決めた。

 就実は、延長戦でも岡山芳泉の粘り強い攻守に苦しめられたものの、延長後半3分、左サイドでボールを持った樋口がファーサイドの松澤へ絶妙なクロスボールを通す。これを松澤が胸トラップから左足シュート。1年生コンビのホットラインによる決勝点で岡山芳泉を振り切った。

 峰沢は「つぎは創志(学園)さん。明日しっかり勝って来週に繋げられるように。優勝という結果を残して、インターハイに繋げたい」と力を込めた。先制されながらも引っくり返した経験は準々決勝や今後の戦いに繋がるはずだ。岡山学芸館高が全国制覇を果たしたことについて、峰沢は「僕たちの代にとっては(全国王者を倒すチャンスができたので)楽しみ」。県大会で王者と戦うチャンスを勝ち取り、乗り越えてまた成長を遂げる。

就実高を背中で引っ張ったCB峰沢悠月主将

(取材・文 吉田太郎)

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