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[MOM4215]関西大北陽MF田中悠矢(2年)_敵陣切り裂く悠然たる「矢」。新主将が見事に1得点1アシスト

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後半16分、関西大北陽高MF田中悠矢が決めて2-0

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.18 近畿高校選手権1回戦 関西大北陽高 2-0 京都共栄高 葛城市新庄第1健民運動場]

 試合後、少しホッとした様子を見せていたのも無理はないだろう。初めて主将として臨む公式戦。緊張感がないと言えば、ウソになる。伝統校のキャプテンマークは軽いものではない。

 関西大北陽高は過去2度の全国制覇を達成し、36度の全国出場を誇る名門だが、京都サンガF.C.U-15からやって来たMF田中悠矢(2年)はそうした歴史について「実際に入るまで知らなかった」と言う。このため、当初は語られる伝統の重さについてもピンと来ず、「最初は聞き流してしまっていた」と振り返る。

 だが、実際に伝統を持つチームで過ごすうちにその考えも変わった。キャプテンマークが受け継がれ、伝統を背負った先代の主将であるDF大平直哉(3年)が様変わりするのを観て、「自分も弱い部分を克服してああならないといけないと思った。伝統あるこのチームの矢面に立つことでもっと強くなりたかった」(田中)と主将に立候補。伝統を受け継ぐ覚悟を決めた。

 実際にやってみると「こんなに大変なんや」と精神的な負担の大きさに驚いたとも言うが、だからこそ初めての公式戦に臨む気持ちも人一倍に高めることができた。「先輩が獲ってくれた出場権なので、絶対に無駄にはできない」という覚悟を仲間たちと共有して試合に臨み、ハーフタイムでは中途半端なプレーが多かった部分をしっかり修正。後半の爆発に繋げた。

 一人の“個”としても違いを出した。後半5分にカウンターから自慢のスピードを飛ばして先制弾をアシストすると、16分には再びカウンターから一気にゴール前へ。荒れた芝生の影響でファーストタッチは意図していたところに止まらなかったものの、素早く頭を切り替えてシュートに繋げ、見事にゴールを陥れた。

「プロを目指しているので、チームとしても個人としても結果を出していきたい」

 伝統校の新主将が最初の公式戦でしっかり数字を残し、大切な一歩目を踏み出した。

(取材・文 川端暁彦)

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