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悔しがる姿も変化。神奈川3位の公立校・厚木北は本気で私学勢突破にチャレンジ

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厚木北高は関東大会出場権をかけた準決勝で逆転負け。好守のGK大橋陽翔はもっと強くなることを誓った

[5.6 関東高校大会神奈川県予選準決勝 日大藤沢高 2-1 厚木北高 レモンS]

 厚木北高の渡邊浄仁監督は、試合後に選手たちが見せた変化を喜んでいた。昨年度、関東大会、インターハイ、選手権に出場している日大藤沢高に1-2で逆転負け。指揮官も「子どもたちも去年を越えようと、一生懸命やってきていたけれどあと一歩」と残念がった。

 ただし、「(選手たちの)悔しがり方が去年と全く違った」と渡邊監督。「『クソ―』みたいな。『もっとオレたちできたのに』と」と悔しがる姿は、延長戦の末に0-3で敗れた1年前(対日大藤沢)とはまた異なるものに映ったようだ。

 前回大会に続き、公立校で唯一の神奈川4強入り。1年前の日大藤沢戦もピッチに立っているのはMF井上隆一主将(3年)と10番MF中山大志(3年)の2人だけだったが、粘り強い守備からカウンター攻撃、セットプレーでゴールを目指して右SB大坪一輝(3年)のCKでリードを奪った。

 後半立ち上がりにCKから失点。一気に勝ち越しを狙う相手の猛攻を受ける形となったが、渡邊監督が「身体能力が高いので、(セービングする際に)ビヨーンと伸びる。ここの関東とかリーグ戦とか進める中でどんどん成長している」と評したGK大橋陽翔(3年)のビッグセーブやCB吉田太陽(3年)のシュートブロックなど簡単には勝ち越し点を与えない。

 各選手が守備意識高く戦ったが、31分に再びCKから失点し、1-2で敗戦。好守でチームを支えた大橋は「前半に1点CKで取って波に乗っていたと思うので、ここで耐えていれば勝てたのかなと。1本だけ後半で止めたやつはあったけれど納得はしていないです。もっとできたなというのがあります」と悔しがった。

 そして、「もっと粘り強く戦えていれば全然勝てたと思う。もう1点取っていれば勝てた。倒さないと次もない。今回は勝ちたかった」。私学の強豪校撃破、神奈川突破は本気の目標。これからの戦いでその目標を実現させる。
 
 厚木北の渡邊監督は民間企業から教員へ転身し、コーチを経て監督就任2年目。選手との距離感の近い指揮官や公立の座間高を選手権、インターハイへ導いている内田雅之コーチ、JFA A級ライセンスを持つ鈴木研人コーチ、そして選手がそれぞれの意見を出し合いながら、聞きながらチームをレベルアップさせている。

 この日の敗戦でより攻撃面の精度の必要性を実感している選手も。渡邊監督は「伸びしろしか無い。期待できるチームかなと思っています」と口にした。今大会はけが人もいる中でCB木村志夢(1年)やMF太田怜音(3年)、FW藤井友樹(3年)らが台頭。この日、惜敗した経験も次に繋げる。

 大橋は「県立で一番強いというのがあったので、(進路に)厚木北を選びました。もっと強くなって、まだ(今大会参加していない)桐光(学園)とか桐蔭(学園)がいる。そこをもっと倒せるようにしていきたい」。一つ一つ積み重ね、インターハイ予選や選手権予選で私学の強豪校を上回る。

(取材・文 吉田太郎)

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