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チャンス得た選手たちが走ってアピール。関東予選3連覇の山梨学院はプリンスリーグ、県リーグとの3連戦で「全部勝つ」

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山梨学院高が3連覇を達成した

[5.12 関東大会山梨県予選決勝 山梨学院高 3-1 帝京三高]

 令和5年度山梨県高校総体サッカー競技兼関東大会予選決勝が行われ、山梨学院高が3連覇を達成した。帝京三高と対戦した山梨学院は3-1で勝利。決勝を戦った両校は関東高校大会(5月、東京)に出場する。

 山梨学院のCB坪井昊主将(3年)は、「今日勝って、明日も勝って、明後日もユースリーグの1部があるので、『全部勝つ』というのを今週自分たちは目標にしている」と説明した。13日のプリンスリーグ関東2部、14日の山梨県1部リーグと含めて3連戦。総力戦で「全部勝つ」を掲げた山梨学院が、まず関東予選タイトルを勝ち取った。

 MF五十嵐真翔(3年)、FW富岡玲音(3年)らプリンスリーグで出場時間の多い主力選手はこの日のメンバー外に。一方で同リーグで先発を経験しているGK堀川史羽(3年)や左SB斉藤幸之介(3年)、右SB鈴木琉斗(2年)、同2得点のMF駒田晴生(3年)、主将の坪井、また同次節出場停止のCB志村晃(2年)も決勝のピッチに立った。

 Aチームで絶対的な存在になっている訳ではないものの、遜色ない力を持つ選手たち。駒田は「普段出ていないメンバーで今日やって、絶対に今日アピールして、プリンスでスタメン取ってやろうという気持ちでいました。(悔しさよりも、)きょうはこういう環境で出れる嬉しさとやってやろうという気持ちが強かったです」とこの試合への思いを口にする。一般生を含めた大応援も後押しに走り、球際でバトル。岩永将監督も「前半から良く走り切ってくれて。本当に良くやってくれたと思います」というパフォーマンスで白星を勝ち取った。

 時にオールプレスを敢行するなど相手に圧力を掛ける山梨学院は前半12分、右サイドから得意のドリブルで前進した駒田がPAへスルーパス。これに走り込んだFW柏木勇飛(2年)が右足を振り抜く。立ち上がりから迫力のある動きを見せていた2年生FWの一撃は、ファーサイドのゴールネットに吸い込まれた。

 互いにボールを繋いで前進しようとするが、両チームともにアプローチが鋭い。その中で帝京三は、トップ下の注目MF辻友翔(3年)や10番MF櫻井元舟(3年)がスキルの高さを発揮するなど長短のパスを繋いで反撃する。そして28分、櫻井の右CKから同点。ファーに流れたボールを胸コントロールした辻が強引に右足を振り抜き、左隅にファインショットを決めた。

 この後は帝京三ペースに。相手を見ながら、的確なポジショニングとパスで相手の守りを攻略する。29分には櫻井のスルーパスから辻が抜け出し、直後にも右サイドを突破した辻の折り返しからFW遊佐凜太朗(3年)が右足を振り抜く。だが、山梨学院GK堀川の好守に阻まれるなど仕留めることができない。山梨学院もサイド攻撃からチャンスを作りながら、相手のシュートブロックの前に決め切ることができなかった。

 後半、山梨学院は選手交代に伴い、関塚を前線へ移動させる。すると12分、斉藤が左タッチライン際から縦パス。俊足FW関塚が一気に抜け出してPAへ侵入し、ゴール方向へラストパスを入れる。これが帝京三DFのオウンゴールを誘い、2-1。さらに15分、左スローインからドリブルで加速した関塚が抜け出し、ファーサイドへ右足シュートを流し込んだ。

 山梨学院は志村が持ち味のカバーリングで貢献。また、坪井が球際で健闘し、MF川村伊吹(3年)がルーズボールに素早く反応するなど集中した戦いを続ける。一方の帝京三は相良和弘監督が「走らないと。ボールばっかり走っている。攻めたいならば走らないと」と指摘したように、後半は運動量を欠いた。

 勝負どころで足が止まり、相手のプレスを受ける形でボールロストも増加。終盤はFW小澤波季(3年)らがPA脇のポケットを狙い、相手の守りを広げていたが、山梨学院はアピールを狙う選手たちが走り切って見せる。3-1で試合終了。坪井は「しっかりチーム一丸となって80分戦いながら締めてやっていこうという話をしていたので、そこは良かったかなと思います」と微笑んだ。

 繋ぎの部分など課題が残ったことは確か。それでも、就任1年目の岩永監督はここまでやや出場機会の少なかった選手たちのアピール、ギラギラした戦いを喜ぶ。「競争が高まって来れば、チーム全体の活力というか前進に繋がると思うので、そういうところはしっかり評価している」。この勝利が、スタンドで応援していた主軸メンバーたちの刺激になっていることも確か。タレントたちが競争をまた激化させそうだ。

 チームの目標はプリンスリーグ関東1部昇格、そしてインターハイ、選手権の全国大会での活躍だ。駒田は「あと2回、インターハイと選手権両方優勝できるように頑張りたい」と語り、坪井は「全国に出てもしっかり勝ち切れるチームを作っていきたいので、明日のトレーニングからしっかりやっていきたい」。まずは勢いづいて迎える13日のプリンスリーグ関東2部・桐蔭学園高戦。ここでの勝利に集中する。

(取材・文 吉田太郎)

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