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[MOM4345]C大阪U-18MFエレハク有夢路(2年)_その非凡、開花間近。瘦身のレフティが驚異のゴラッソで勝利に貢献!

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セレッソ大阪U-18MFエレハク有夢路(2年=東急SレイエスFC U-15出身)はゴールで勝利に貢献!

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.25 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第8節 C大阪U-18 2-0 興國高 セレッソ大阪舞洲ニッポンハムG]

 チーム内での立ち位置が約束されていないことは、自分が一番よくわかっている。巡ってきたスタメンのチャンス。これを明確な結果という形で生かさない手はない。気持ちは、いつも以上に漲っていた。

「自分はリーグ戦に全然スタメンで出られていなかったので、ここでやってやろうという気持ちはありました。今年のリーグ戦では初ゴールだったので、嬉しかったです!」

 自身の勝負の地を大阪に定めた、笑顔の印象的な痩身のレフティ。セレッソ大阪U-18(大阪)のナンバー15。MFエレハク有夢路(2年=東急SレイエスFC U-15出身)のゴラッソがチームに5試合ぶりのリーグ戦勝利を引き寄せた。

 良いプレーができていない自覚はあった。「前のパスコースを見つけられていなかったのもありますし、推進力がなかったというか、味方を探している感じで戸惑っていましたね」。興國高と対峙したプリンスリーグ関西1部第8節。4連敗中というチーム状況の中で、スタメン起用されたエレハクは、思い描いていたような形ではゲームに入れない。

「全然うまく行っていないのは、みんなもわかっていたと思います。僕も正直しんどくて、今できることをやろうと感じていましたし、『最悪0-0でもいいかな』と自分では思っていました」。ほとんどフィニッシュの形を作れない中で、前半41分にMF西川宙希(2年)のミドルで先制すると、後半は一転して一気にホームチームが流れを引き寄せる。

「ハーフタイム中に前の選手とコミュニケーションを取ったり、自分自身ももっとボールを運ぼうと思いましたし、もっと前でプレーしようと思っていたので、そこを変えました」というエレハクに、チャンスが訪れたのは後半16分。中盤でコンビを組んでいたMF木實快斗(2年)のボール奪取を起点に、FW首藤希(2年)が仕掛けたこぼれ球が目の前に転がってくる。

 良い意味で力は抜けていた。「『まあ、打ったら入るやろ』みたいな感じでしたね」。得意の左足を振り抜くと、ボールは一直線にゴールネットへ突き刺さる。「ファーに蹴ろうとは決めていたんですけど、良い具合に入ってくれた感じです。コースは完璧でしたね」。

 完璧なゴラッソを沈めると、チームメイトの歓喜の輪に飲み込まれながらも、ゴール裏のカメラに向かって指差しポーズ。エレハクのゴールで点差を2点に広げたチームは、最後まで粘り強く戦って2-0と勝ち切り、5試合ぶりの白星。「前半は僕自身の出来があまり良くなかったので、それを取り返そうという気持ちで後半は入ったんですけど、それが良い形で実って良かったです」と2年生MFは満面の笑みをその顔に浮かべた。



 1年生だった昨シーズンからプレミアリーグの出場機会を獲得しており、夏のクラブユース選手権でも大半の試合でスタメン出場を果たして日本一に貢献したが、迎えた今シーズンはベンチスタートも多く、やや苦しい状況が続いている。それでも、本人は現状を冷静に分析しているようだ。

「去年に関しては、正直自分の中では“出させてもらっている”感覚で、自分の実力で出ている感じではなかったので、2年生になってちょっと立ち位置が下になったということに対しても、もちろん試合に出たい気持ちはありましたけど、そんなに重く捉え過ぎずにやってきました」。

 だからこそ、この日の自分のパフォーマンスに対しても、得点という大きな成果に左右されることなく、しっかりと課題に目を向けている。「今日も得点以外の出来は良くなくて、変なパスミスも多かったですし、何とか得点でチャラになった感じもあるので、1個1個正確にやることも大事ですし、もっと狭いところでもやれるし、どんなサッカーでもやれるように技術をもっと高めなければいけないかなと思います。あとは前が見えていることが少ないので、視野を広げていくことも大事かなと考えています」。17歳にして、なかなか地に足がついているようだ。

 中学時代は神奈川の東急SレイエスFC U-15でプレー。進路にはいくつかの選択肢があった中で、「独特なサッカーをやっているのが楽しそうだなということと、練習参加した時の感覚で『上手くなれるかな』と思って」C大阪U-18で勝負する決断を下す。現在はチームメイトと寮生活を送っているが、「たまに親も来てくれたりしているので、結構楽しく生活しています」とのこと。ピッチ外ではニコニコしながらチームメイトと戯れている雰囲気も印象的だ。

 周囲にはトップチームの練習に参加している同級生もいる。自身の成長に対して問われると、少しだけ表情を引き締めて、こう語った。「ここから残りの試合もスタメンで出続けたいですし、出続けるだけではなくて、ユースにとっていなければいけない存在になりたいので、2年生のうちに中心選手になりたいなと思います」。

 しなやかなボールタッチと、左足の一刺しには間違いなく“非凡”が宿っている。今はその才能をより開花させるための助走期間。思い描いた夢へと続いていくと信じる路を、エレハクは一歩ずつ、一歩ずつ、ゆっくりと、確実に、進んでいる。



(取材・文 土屋雅史)
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