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クラセン予選敗退の山口U-18が悔しさぶつける90分間。強力2トップも躍動し、3-0で快勝

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後半38分、レノファ山口FC U-18がMF鎌田虎之介の3点目を喜ぶ

[6.25 高円宮杯プリンスリーグ中国第9節 米子北高セカンド 0-3 山口U-18 どらドラパーク米子陸上競技場]
 
 悔しさを晴らす1勝だ。高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023中国第9節で米子北高セカンド(鳥取)とレノファ山口FC U-18(山口)が激突。山口が3-0で快勝し、今季2勝目を挙げた。

 山口は6月10日の日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会中国予選で岡山U-18に1-3で惜敗。全国大会出場を逃している。敗戦から2週間。この日の米子北セカンド戦はリーグ戦の再開初戦だった。

 横浜FMヘッドコーチなどを歴任してきた小林慎二監督は、「その悔しさを今日ぶつけないと意味がない、という話をさせてもらって、選手たちも良く頑張りました」と評価。指揮官は米子北対策として球際で戦うこと、セカンドボールを拾うこと、相手に飲まれないことを求めていたという。選手たちは期待に応える戦い。3-0でクラブユース選手権予選の悔しさを晴らした。

 前半12分、山口は10番FW末永透瑛(3年)が相手の激しいプレッシャーの中でボールキープ。そして、ゴール前へラストパスを通すと、186cmFW大宮健希(3年)が1タッチでゴールへ押し込んだ。

 先制された米子北セカンドは、最前線のFW堀大夢(3年)が攻守に奮闘。FW浜梶優大(1年)とともに勢いを持って前へ出続ける。対する山口は、負傷者の代役としてCB起用されたFW長尾莉琥(1年)が球際のバトルで健闘。相手の力強い攻撃に屈することなく、CB岡田慎平(2年)らとともに要所を封じていた。そして、GK佐々木康樹(3年)がクロスやDF背後へのボールに対して積極的にチャレンジ。勇気のあるプレーでゴールを守り続ける。

 山口は各選手の奮闘が光ったが、特に目立つ動きを見せたのが末永、大宮の強力2トップだ。30分、山口は自陣から速攻。この日的確なポストプレーを連発していた大宮が前線で収めて左前方へパスを通す。一気に抜け出した末永がGKとの1対1から右足ループシュート。2-0と突き放した。

 米子北は前半終了間際、左FKのこぼれからMF楠元紀(2年)が狙うも山口FW大宮がシュートブロック。追加点を狙う山口は後半、右SB鈴木陽(2年)、左SB桑原歩生(3年)がハイサイドまで侵入する回数を増やす。末永、大宮が強さ、スピードを活かしてゴールへ迫り、そこにMF井平幸輝(2年)が係る形でチャンス。だが、米子北はGK佐々木唯翔(2年)のファインセーブによって3点目を許さない。

 各選手が球際、運動量、攻守の切り替えの部分を徹底する米子北はセットプレー、カウンターから決定機を作り出し、MF久徳庵道(2年)がゴールを狙う。だが、チャンスで決め切れず、山口に圧力を掛けることができない。

 逆に山口は38分、右サイドの末永がスルーパス。大宮がGKを引き付けて中央へラストパスを通すと、最後は交代出場MF鎌田虎之介(1年)が決定的な3点目を決めた。山口が3-0で勝利。末永は「(クラブユース選手権予選)最終戦でファジアーノに負けたので、その悔しさをどこで晴らすの?となった時にここじゃないと晴らせないと。前泊のホテルから気合い入れて、明日絶対に勝ってやろうと考えていました」。岡山戦で課題となった決め切る部分も改善し、“アウェー”で勝点3を勝ち取った。

 山口は山口県1部リーグに所属していた昨年、日本クラブユース選手権(U-18)大会でプレミアリーグ勢の大宮U18を破るなどグループステージを1位突破し、ベスト16と躍進。プリンスリーグ中国初昇格を果たした。だが、プリンスリーグ参入1年目の序盤戦は苦戦。この日は1年生3人が先発するなどまだまだ経験も浅いが、山口の今後のために残留は絶対のノルマだ。

 小林監督は「今年上がったばかりですけれども、それでもクラブのために積み重ねをしなければいけない」と語る。「何とか残って来年もこのリーグで戦う」(小林監督)ために、残留争いから抜け出さなければならない。

 末永は「来年の1、2年生のためにここしっかりと踏ん張って、負けないように。でも上を目指していけるように、自分でも、チームでも成長していきたい」と誓った。この日のような戦いを続け、自分たちや後輩の将来に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)
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