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ブレずに続けた前からの守備と「誰が出ても強いグランパスU-18」を表現。名古屋U-18がプレミアWEST2位浮上

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後半30分、名古屋グランパスU-18MF野田愛斗(14番)が貴重な追加点

[7.2 高円宮杯プレミアリーグWEST第10節 横浜FCユース 0-2 名古屋U-18 保土ケ谷]

 名古屋U-18が2位浮上! 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 WESTは2日、第10節2日目を行い、神奈川県立保土ヶ谷公園サッカー場で横浜FCユース(神奈川)と名古屋グランパスU-18(愛知)が激突。アウェーの名古屋U-18がFW野中祐吾(1年)とMF野田愛斗(3年)のゴールによって2-0で勝ち、2位へ浮上している。

 試合後、名古屋の古賀聡監督は「自分たちの強みというか、そこを信じられたのが大きかった」と頷いていた。横浜FCは11位と苦戦しているものの、自力のあるチーム。名古屋は相手にチャンスを作られ、特に後半は押し込まれる時間帯が続いた。

 それでも、気温30度近い暑さの中、ブレずに前からボールを奪いに行って立ち上がりと試合終盤にゴール。相手の守りを切り崩して得点を奪うことはできず、選手たちに満足感はなかったが、それでも名古屋らしさを表現して勝点3を奪取した。

 名古屋は6分、早くもスコアを動かした。第8節から先発起用されている1年生FW野中が、相手ビルドアップの流れでGKまでプレッシング。これに続く形でFW那須奏輔(3年)が相手ボランチに圧力をかける。すると、横浜FCに連係ミス。野中がPAでインターセプトし、そのまま右足シュートをゴールに流し込んだ。

 0-0に終わった前節・神戸U-18戦の責任を自分に向け、雪辱を誓っていたという1年生FWが先制ゴール。13分には横浜FCのFW朝見友樹(2年)に抜け出され、決定的なシュートを打たれたが、GKピサノアレクサンドレ幸冬堀尾(3年)がストップする。

 横浜FCは司令塔のMF加藤嵩寅(3年)を軸にボールを動かし、U-16日本代表FW前田勘太朗(1年)が鋭くDF背後へ。名古屋は前半、鋭い奪い返しを続けていたが、相手2トップやMF宮本新(3年)の動きを捕まえ切れないシーンも増え、起点を作られていた。

 だが、素早い対応。ゲーム主将のCB大田湊真(3年)や左SB池間叶(2年)が個でも相手の攻撃を止め切っていたほか、U-16日本代表右SB森壮一朗(1年)やCB長田涼平(3年)もカバーリングを徹底する。43分には相手左SB水木康誠(3年、U-18日本代表候補)のクロスがゴール前に通ったが、池間がシュートブロック。得点を許さない。

 逆に大田やMF内田康介(3年)の正確な配球で押し返す。35分には、中央から攻撃参加した長田がパス交換して左へ展開。MF石橋郁弥(3年)の右足シュートがゴールを脅かす。横浜FCもCB林賢吾主将(3年)中心に守りが堅く、後半は立ち上がりからペースを握った。

 5分、CB國枝蒼空(3年)のロングフィードで左へ抜け出した前田が間髪入れずにクロス。これに走り込んだU-19日本代表MF永田滉太朗(3年)が左足ダイレクトで合わせる。だが、名古屋GKピサノがビッグセーブ。サイドを活用しながらゴールに迫る横浜FCは、17分にも敵陣でのインターセプトから交代出場MF庄司啓太郎(2年)が左へ抜け出し、右足シュートを放つ。

 だが、名古屋の194cmGKピサノが大きな身体を活かして左足で再びビッグセーブ。横浜FCは加藤、永田を軸とした攻撃でゴール前のシーンを増やしていたが、最後の局面での精度を欠いていた。そして、30分、我慢強く守っていた名古屋に次の1点が生まれる。

 相手のビルドアップに対し、MF八色真人(1年)と野中がCB、GKに連続でプレッシング。そして、わずかにズレたパスを野田がPAやや外側でインターセプトする。そのまま左中間から仕掛けてニアへ豪快な左足シュート。2点目を奪ったMFはゴール裏のサポーターの下へ駆け寄り、一緒に貴重な追加点を喜んだ。

 横浜FCは巻き返せるだけの力を見せていたが、永田の左足シュートがGK正面を突くなど1点が遠い。小野信義監督は「内容だけみれば悪くないし、勝つチャンスがある中で同じようなゲームを繰り返している。自分たちの足りないところ。お互いのゴール前、アタックした時のゴール前と自分たちが守備の時のゴール前のところでの粘り弱さのような。ずっとここが改善されていないで出ている前期かなと」と説明する。決定力不足改善を目指したトレーニング、個の強化を重ねているが、紙一重の勝負で再び課題が出て、惜敗することになった。

 一方の名古屋は絶対的エースのU-18日本代表候補FW貴田遼河(3年)がトップチームで出場を続けているのに加え、U-17日本代表活動中のMF杉浦駿吾(2年)、トップ昇格のU-19日本代表MF鈴木陽人(3年)という注目アタッカーたちが不在。だが、古賀監督が「選手層の厚みが今年のチームの特長だと思っている」と語るように、3年生のドリブラー・石橋や下級生が台頭し、結果を残している。

 大田は「怪我人を出さないことが一番なんですけれども、シーズンを通して全員で戦えるとは思っていないし、たまには怪我人も出る。その穴埋めで試合に出ているという選手は多分いなくて、みんなギラギラした目で練習に取り組んでいるので、そこは誰が出ても強いグランパスU-18というのを作れているのかなと思います」と胸を張る。この後、U17アジアカップ優勝に貢献した杉浦や怪我人が戻ってくる予定。「競争できるのが楽しみで仕方がないです」と大田は微笑んだ。

 試合後、選手たちの口からは反省する言葉も。この日、攻守に出た課題を改善しなければならない。そして、強みの選手層をさらに充実させ、「狙っています」(大田)というクラブユース選手権、プレミアリーグのタイトルを勝ち取る。

前半6分、FW野中祐吾が先制ゴール

後半30分、MF野田愛斗が追加点

(取材・文 吉田太郎)
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