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ルヴァン杯も経験した強気な守備者。名古屋U-18DF長田涼平が見据えるのはさらなる「ステージ奪取」

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名古屋グランパスU-18の最終ラインを支えるDF長田涼平(3年=刈谷ジュニアユース出身)

[7.2 高円宮杯プレミアリーグWEST第10節 横浜FCユース 0-2 名古屋U-18 保土ケ谷]

 トップチームの試合に出場するという“ステージ”は奪取した。ただ、1つの目標を乗り越えれば、また次にはもっと大きな目標が、自分の中で膨らんでいく。その繰り返しが成長するための糧になり続けることは、実体験の中で身をもって学んできたことだ。

「次のステージに行った時に、1年目からスタメンを張ってプレーできるようにするためにはまだまだ努力が必要ですし、練習から意識を変えていかないといけないと思うので、1試合1試合大切にするのはもちろんですけど、毎回の練習はもちろん、練習ではない時間もしっかり成長のために充てていきたいと思います」。

 名古屋グランパスU-18(愛知)の最終ラインを支えるアグレッシブなセンターバック。DF長田涼平(3年=刈谷ジュニアユース出身)の目指すべき“ステージ”へと繋がる道は、経験を重ねていくたびに、もっと高いところへと、もっとこの先へと、伸び続けていく。

「長田と(大田)湊真とピサノ(アレクサンドレ幸冬堀尾)がずっとゼロで抑えてくれているので、それで自分たちもやらなきゃいけないと思えることが、今のチームで一番大きいことだと思います」。最前線で奮闘したFW那須奏輔(3年)は、終わったばかりの試合をそう振り返った。

 横浜FCユースとアウェイで対峙したプレミアリーグWEST第10節。シュート数も相手の方が多く、何回かの決定機も作られた中で、名古屋U-18は高い集中力を保って相手のアタックを凌いでいく。「相手のインサイドハーフの選手にうまく自分たちがマークに付けなくて、そこから前進される場面が多くあって、難しいゲームでした」と言及した長田も、最後の局面ではエリア内で身体を張り、ゴールに鍵を掛け続ける。

 得意の攻撃参加でも見せ場があった。前半35分にはボールを持って前を向くと、那須とのワンツーで前線まで侵入して、左へラストパス。MF石橋郁弥(3年)のシュートは枠を外れ、「打ちやすいボールを置いたんですけどね(笑)」とは言いながらも、「アレは自分の武器としているプレーなので、練習でやってきた成果がちょっとずつ出ているのかなと思います」と少しだけ胸を張る。

 結果的にゲームは2-0で勝利。2試合続けての無失点には「全員がコミュニケーションを取って、うまく連動できている部分もありますし、ゴール前でも全員がしっかり身体を張って守れているので、開幕戦から比べれば全員の守備の意識が高まっていると思います」と長田も一定の手応えを口にした。



 5月24日。豊田スタジアム。ルヴァンカップのヴィッセル神戸戦で、トップチームの2種登録選手でもある長田はスタメンに指名される。ポジションは吉田温紀、河面旺成とともに組んだ3バックの右センターバック。斜め前にはU-18の先輩でもある甲田英將が、また同期の貴田遼河と鈴木陽人も同じピッチに立つ中で、冷静なパフォーマンスを披露する。

「凄く多くの方にチャントや歌を歌ってもらって、ああいう経験が楽しかったですね。アップ前まではちょっと緊張もあったんですけど、アップでゴール裏に挨拶に行った時には緊張はほぐれました」。

「空中戦は相手も強くて、そこはもっと改善しないといけないと思ったんですけど、やっぱり足元での1対1やスピードのところでは負ける気はしないことを、あの試合からも感じました。後半の立ち上がりに相手がプレッシャーに来たんですけど、味方のウイングバックの選手とうまくワンツーして、相手の“前プレ”を打開できたところは、自分の持ち味だと思いますし、そこが通用したのは自信になりました」。

「自分がマッチアップしたのはパトリッキ選手やリンコン選手で、Jリーグの中でも凄いアタッカーだと思いますし、そういう選手と対峙した経験があるからこそ、次にああいう舞台に行ったら、もうそういう選手を圧倒できるようになろうという意識が芽生えたので、自分がさらに成長する良い財産になったなと思いますし、自分が積み上げてきたことを最低限やって通用したので、ユースでももっと自分を高めようと、より思うようになりました」。90分間のステージは、多くの収穫を17歳へもたらしたようだ。

 この日の横浜FCユース戦も、3人の1年生がスタメン出場。下級生の活躍も目立っているが、自身の経験も彼らをバックアップする上で一役買っているという。「自分は去年もプレミアに出させてもらっていて、今年はルヴァンにも出て、その時に自分がのびのびプレーできたのは先輩の振る舞いだったりプレーを見てだったので、今日も1年生が何人か出ていますけど、どんどんチャレンジしてほしいですし、彼らがミスをしても自分が取り返せば、それで自分の価値も上がりますし、自分も成長すると思うので、そういう意識ではやっています」。

 もう自分のパフォーマンスだけを気にしていられる立場ではない。「自分はそんなにプレッシャーとか感じていないですけど」と笑いながら、「自分がいろいろなことを経験したからこそ、チームを引っ張っていこうという想いはあります」と続けた言葉に、このチームの絶対的な主力としての自覚も滲む。

 ネクストステージへの扉に手を掛けている、強気な姿勢が頼もしい愛知育ちのセンターバック。長田涼平が描いていく成長曲線も、さらなる経験を重ねていくたびに、もっと高いところへと、もっと先へと、必ず伸び続けていくはずだ。



(取材・文 土屋雅史) 
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